日米2プラス2(外相、防衛相会談)の成果として発表された共同声明の中で、「北方領土問題を解決することで、日露関係の完全なる正常化をめざす」と言及したことに対して、ロシア政府はこの日(6月24日)声明を発表し、「ロシア政府は(アメリカが)南クリル諸島に対するロシアの主権を疑うことは不適切と考える」と表明した。
これは北方諸島を日本の領土などと考えないように、アメリカ政府を強く牽制したものだ。
ロシアは最近になって、過去の日ロ間の領土交渉の経緯を全く無視して、北方諸島はすべてロシアの正当な領土だと主張するようになった。これに対して日本はたびたび抗議してきたが、ロシアは改める姿勢を見せていない。イヴァーノフ副首相などは、日ロ間にはいかなる領土問題も存在しないといっているくらいだ。
北方領土問題が、日ロ二国間の問題にとどまっている限りは、どうも進展する見込みは薄い、というのが最近の情況の特徴だ。このままでは、日本は袋小路に陥り、領土問題は永久に解決の見通しがつかないのではないか、こんなあせりも出てきた。
そうしたタイミングで出された今回の2プラス2共同声明に、ロシアが珍しく真剣な反応を示したわけだ。
やはりこの問題は、日ロ二国間の外交交渉だけではなく、様々なルートを通じてアピールしていくことの必要性と有効性を示しているのではないか。
日本としては、アメリカなどの同盟国はもとより、さまざまなチャンネルを通じて、ロシアを揺さぶる道を探るべきではないか。ロシアとの間で領土問題を抱えている国と共同して、日本の主張の正当性をアピールするとか、ロシアの主張を孤立化させるなどの努力が必要だ。
たとえば中国は、ウスリー川沿いの国境線をめぐって、ロシアとの間に領土問題の火だねを抱えたままでいる。いまのところあからさまな返還要求などはしていないが、川の流れを人工的に変える試みをしてみたり、ロシア側の神経を逆撫でするような行為は続けている。
またフィンランドやバルト諸国なども、ロシアとの間で領土問題の火種を抱えている。
日本はこうした諸国と連携を図って、ロシアを揺さぶることができる。無論それには、将来を見据えた的確な戦略が不可欠で、対応を誤れば新たな紛争を招きかねないが、その辺をクリアして自国の利益を図っていける能力を身に着けること、これが日本に必要なことだ。(写真はAPから)
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