国連がソマリア南部の二つの地域(バクール、シェべリ川下流地域)に、21世紀初の飢饉宣言を出した。長引く内戦と干ばつによって食料が不足し、すでに数万人にのぼる人々が餓死したといわれる。
国連による飢饉の定義は、「子供の急性栄養失調率が30%を超え、1日に1万人に2人が餓死」というものだが、今回の対象地域では、子供の急性栄養失調率は50%を超え、死亡率も国連基準の3倍以上に上る。しかも対象地域も拡大する様相を示し、秋ごろにはソマリア全土からエチオピアにかけて1100万人が飢饉に直面するだろうといわれている。
ソマリアは1990年代にも深刻な飢饉に見舞われた。20万人以上が餓死したとされるが、その主な原因は内戦による混乱と干ばつが重なったことだ。今回も同様の事態が起きているわけだ。
国連による援助の呼びかけに、アメリカのクリントン国務長官は2800万ドルの援助を申し出たが、具体的な方法をめぐって米国内には議論があるようだ。
というのも、今回の対象地域はアルカイダと関連があるとされる反政府組織アルシャバブの支配下にあるからだ。アメリカはアルシャバブをテロ組織に認定しており、食料等がアルシャバブの手に入ることを法律で厳しく禁止している。アルシャバブも長い間、外国勢力が自分たちの支配地域に立ち入り琴を拒絶してきた経緯があり、援助物資が安全にこれらの地域に届くのかどうか、不安もあるようだ。(写真はロイターから)
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