先日(8月23日)の午後ヴァージニア州を震源とする地震がワシントンやニューヨークなど東海岸の大都市を直撃し、大パニックになったという。
CNNの報道などによれば、首都ワシントンでは政府機関の多くが一時閉鎖したり、職員を帰宅させたり、歴史的建造物への立ち入り禁止措置をとったりと大変な騒ぎになった。
また東海岸の主要空港は軒並み運行停止、ケネディ国際空港では管制官が避難した。ヴァージニア州にあるソースアナ原発では外部電源がブラックアウトし、二基の原子炉が運転停止になった。
また家族の安否を心配した市民が携帯電話に殺到したため回線がパンク、一時携帯電話が通じない事態が起きた。
まさに日本の地震顔負けの騒ぎだが、起きた地震そのものは、日本の常識からすればたいした物ではなかった。地震のエネルギーはマグニチュード5.8、揺れの大きさも震度3程度、震源地に近いところでやっと震度4くらいといったところだ。
この程度の地震に対してこんなに過剰に反応したのは、東海岸の人々がほとんど地震を経験したことがないためだ。過去、東海岸で今回と同程度の地震があったのは、1944年のM5.8の地震、1897年のM5.9の地震だったというから、この地域がいかに大きな地震と無縁だったかわかろうというものだ。
東海岸に地震が少ないのは、地震の震源となる海底プレート層から離れていることによる。一番近いプレート層は大西洋の海底にあるが、そこで生じた揺れは、東海岸の陸上部までは伝わらないわけなのだ。
しかし日本ではありきたりの揺れでも、建物に損壊が生じた事例が多数報告されたというから、アメリカの東海岸では、いかに地震対策が考慮されていないか、改めてあぶりだされた形だ。(写真は屋外に避難した人々:ナショナル・ジオグラフィックから)
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