先日、サウジアラビアのジッダ裁判所が、女性が無免許で車を運転した罪で、むち打ち10回の身体刑を課した所、サウジアラビア国内の女性たちはもとより、世界中の男女から批判を浴びた。筆者などは、むち打ち刑などという、前時代的な刑罰がいまだに残っていることに驚かされたが、それ以上に、女性に車の運転を禁止しているサウジアラビアの封建的な体質にも驚かされた。
もっともこの判決は、アブドラ国王によって、直ちに撤回を命じられた。アブドラ国王は先般、サウジアラビアの女性たちに一部参政権を認めたことで、開明的な国王だとの評判がたつことを期待していた。そんなところにこんな判決が下されて、それが執行されるようだと、折角の評判が台無しになる、こう危惧したらしい。
判決を受けたのは、シャイマ・ジャスタニアさん。王族の一員だ。
彼女はサウジアラビアで高まりつつあるウーマン・リブ運動のチャンピオンのような存在だ。女性差別の中でも、とりわけ車の運転を取り上げ、女性にも車を運転させろと主張してきた。その主張を強化するために、外国で運転免許をとり、それでアラビア国内で自分が運転している映像をSNSなどで流してきた。今回も、自分で車を運転しているところを逮捕された。罪状は無免許運転だ。外国で取得した免許は、女性の場合にはアラビア国内では無効だという理屈だ。
アラブ諸国では、むち打ちなどの身体刑がいまだに行われているのだいうことを、改めて知った筆者は、それについて少々調べてみた。
身体刑にはいろいろあるようだが、代表的なのは手首の切断とこのむち打ちの刑らしい。手首の切断のほうは、窃盗など手を用いてなした犯罪について適用されるらしい。お前の手が悪いのだから、成敗のためにちょん切ってやるということだろう。
これに対してむち打ちのほうは、破廉恥罪に適用されるケースが多いらしい。みだらな男女関係については、男も女も禁固刑とともに、むち打ち刑を科されることが多いようだ。
2009年10月には、テレビのトークショーで自分の性生活を赤裸々に語った男性に対して、やはりジッダの裁判所が、「社会的迷惑行為の罪」により、禁固5年むち打ち1000回を言い渡した。一緒に出演していた友人たち3人にも禁固2年むち打ち300回を課し、このトークショーを撮影したカメラマンもおこぼれにあずかって禁固2ヶ月を言い渡された。
むち打ち刑の執行は、受刑者を、脚を伸ばした形で座らせて固定し、そのひざから股の辺りにかけてむちを振り下ろすというものらしい。残酷であることは間違いない。
ともあれ1000回もむちで打たれたらいったいどうなってしまうのだろう、と筆者などは要らぬ心配にとらわれたりするのだ。(写真はアルジャジーラの映像)
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