上の映像は、タリバンの三人の遺体に向かって、4人の米兵が放尿しているところを写したビデオの一部だ。装備から海兵隊員とみられる4人の顔には笑いの表情がある。地上に横たわっているタリバンが、兵士なのか非戦闘員なのか、映像からは詳しくわからない。
このビデオ映像が昨日の木曜日(1月12日)インターネット上に現れるや、瞬く間に世界中の人々をとらえ、すさまじい反響を巻き起こした。状況をつかんだアメリカ政府はただちに声明を発表、この行為が許しがたい犯罪であるとしたうえで、徹底した調査と行為者に対する厳しい処罰を約束した。
事態に驚いたパネッタ国防長官はすぐさまカルザイ・アフガニスタン大統領に電話を入れ、謝罪したうえで、調査と行為者の処罰を約束したが、その時点でカルザイ大統領はこの映像を見ており、怒り心頭に発していた。
「かかる行為は全く以て非人道的なものであり、かかわった人間は厳しく処罰されねばならぬ」カルザイ大統領はそう述べていたが、パネッタ長官がいち早く謝罪したことで、幾分気分を和らげたともいわれている。
アメリカ政府がこのことを重く受け止めているのは、イラク戦争に伴って発生したアブ・グライブでの捕虜虐待事件が、世界中の非難を浴び、イラク戦争遂行に重大な悪影響が生じたことを、昨日のことのように覚えているからだ。
今回も、アフガン情勢は微妙な時期にある。アメリカ政府はアフガニスタンからの撤退に向けて、タリバンとも交渉しているさなかだった。そこへこんなものが出てきたわけだから、アフガンを一気に再混乱に追い込みかねない爆弾のようなものだ、そう受け止めたのはいうまでもない。
捕虜を虐待することはもちろん、捕虜の遺体を凌辱することも、国際法上禁止されている。米軍軍法においても、厳しく禁止されている。にもかかわらず、こうした事態が生じるのはどうしたわけか。
ともあれ、映像の即物性はどんな言葉よりも雄弁だ。
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