人民網をチェックしていたら、淸明時節雨紛紛という言葉が目についた。唐の大詩人杜牧の詩の一節だ。杜牧は清明節の前後は雨が多いということを歌ったのだが、人民網のヘッドラインは、今年の清明節の特徴のようなものを記している。
清明節とは中国では、先祖を祀る日でもある。日本のお盆に相当する。今年は4月4日がそれにあたるというので、4月2日からは連休に入るそうだ。その穴埋めとして、3月31日と4月1日の土日が勤務日に振り替えられたという。中国式の知恵というものだろうか。
中国の清明節は墓参りが中心行事だという。かつては墓の前で、紙で作った供え物を焼くのが習慣だったそうだが、最近は環境対策の観点から、紙を焼くのは控えるようになり、花を捧げるのが流行っているらしい。花の中でも人気があるのが菊の花。菊は日本の墓参りでも人気がある花だ。しかし今年は菊の山地雲南省が天候不良のために不作だったこともあり、値段がバラよりも高いという。
そのお供えに、アップルのタブロイド型端末などのハイテク製品を用いるのがちょっとした流行になっているそうだ。なぜそうなるのかは、筆者にはよくわからない。
とこあれ、ここで杜牧の詩を観賞してみよう。
淸明時節雨紛紛 淸明の時節 雨紛紛
路上行人欲斷魂 路上の行人魂を斷たんと欲す
借問酒家何處有 借問す 酒家は何れの處にか有る
牧童遙指杏花村 牧童 遙かに指さす杏花の村
~清明節の前後には雨がよく降るわい、歩いているとうんざりするわい、おいそこな小僧、どこか酒を飲ませるところはおらぬか、小僧が指さす方角にはアンズの花咲く村がある
折角の散歩の途中に雨に見舞われ、心の中までびしょ濡れになっては、酒が飲みたくもなろうというものだ。杜牧大先生は、誰もが感じるであろうそうした心模様を、心憎い言葉で表現するのが得意だった。
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