昨年7月22日にオスロとオスロ郊外の湖の島で合計77人の人々を殺害したアンデルス・ブレイヴィク(Anders Behring Breivik)に対する裁判が、4月16日、オスロの地方裁判所で始まった。
法廷に連れてこられたブレイヴィクは、手錠を外されるとまず最初に、ナチス式の挨拶を法廷関係者におくり(写真:AFPから)、そのあとで、検察官や裁判官と握手した。そして開口一番、自分はこの法廷の権威を認めないと宣言した。人種融和政策を推進する労働党と同じ穴のムジナだからという理由で。
起訴状の朗読を無表情に聞いていたブレイヴィクは、起訴事実を認めたうえで無罪を主張した。理由は正当防衛である。
自分がしたことは、イスラムの脅威からノルウェーを守るための正当防衛だ、というわけである。自分が殺したのは、ノルウェーにイスラム移民を許容した労働党政府と、その予備軍となる連中だ、彼らを殺さなければ、ノルウェーはイスラムに乗っ取られる、こういう理屈のようだ。
ブレイヴィクの有罪が確定すると、彼の刑罰は最大でも21年だ。信じられないくらい寛容な刑罰だ。ただし、再犯が強く懸念される場合には、無期禁固になる場合もあるという。それにしても、日本の感覚とはえらく離れている。
法廷の様子は一部公開され、テレビ放映もされたが、ブレイヴィクが証言する部分は、放映を禁止された。ブレイヴィクは現在、ヨーロッパ各国で台頭しているウルトラ右翼勢力にとってヒーローになりつつあるのを勘案して、彼の扇動が変な効果をあげないようにとの配慮からだという。
彼自身は、自分はノルウェー国内の右翼政党のメンバーだといっているようだが、警察の調べでは、彼が言及しているような政治団体は存在しないとのことだ。
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