5月3日、米中戦略・経済対話が北京で始まった。開幕に際して、中国の胡錦濤国家主席は、米中両国が信頼関係の構築に努めることが重要との考えを表明した。それに対してクリントン国務長官は、中国は思い切った減税を実行して、内需を拡大すべきだ、と実利にこだわった表明をした。中国の内需拡大は、米国にとっても有利だとの打算があるのだろう。
一方、いまメディアを賑わせている陳光誠の件については、米中両者とも触れなかった。クリントン国務長官は、あくまで一般論として、「あらゆる国が市民の切望に応えるべきだ」と述べ、中国当局に人権尊重を求めた。
これに対して胡錦濤国家主席は、国情の違いを指摘したうえで、「相互の懸念を尊重し、適切に処理していくべきだ」と反論した。
米中戦略・経済対話は今年で4回目であるが、過去3回の対話を通じて、米中間の溝が少しづつ埋められる努力が続けられてきた。この会合の名称が物語っているように、今日の米中関係は、中国の軍事的・経済的な大国化を踏まえて、米中がいかに安定した関係を構築していけるかが焦点になっている。とりわけ、世界的な経済危機がくすぶっているなかで、経済は喫緊の課題だ。それ故、クリントン長官の上述のような表明がなされたのだろうが、いかにもストレートな物言いであるところが、クリントン夫人らしい。(写真はYouTube から)
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