蘇軾の五言絶句「西塞風雨」(壺齋散人注)
斜風細雨到來時 斜風細雨到來する時
我本無家何處歸 我本家無し 何れの處へか歸らん
仰看雲天真箬笠 仰いで雲天を看れば真に箬笠
旋收江海入蓑衣 旋ち江海を收めて蓑衣に入れん
風が細雨を斜めに吹いてやってきたら、もともと家を持たない自分はどこにい
けばよいのか、雲天を仰ぎ見ればそこには熊笹のような雲がたれこめている、このまま江海ごとつかんで蓑の中に入れてしまおうか
元祐6年(1091)、蘇軾は翰林学士として都に召喚された。太皇太后の強い意向に基づく人事だった。しかし蘇軾を待っていたのは政敵たちによる攻撃の一斉射撃だった。朔党と称した派閥グループは、蘇軾と蘇轍の兄弟が宰相の地位について、自分らを迫害するのではないか、と真剣に恐れた、その恐れが蘇軾攻撃に走らせたのである。その当時、弟の蘇轍も出世して、宰相に匹敵する地位についていた。
だから蘇軾は都にいることに耐えられなくなり、再び外任を乞うた。その結果蘇軾は同年の8月に頴州の知事となって転出している。
この詩は、風雨に例えて自分の身に降りかかっている困苦を歌っているとも受け取れる。
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