欧州合同原子核研究機関(CERN)が6月4日にヒッグス粒子を発見したと発表した。CERNの二つの研究グループがヒッグス粒子の痕跡を見つけたと発表したのが昨年(2011)12月、その成果を詳細に追跡研究した結果、今回の発表につながったという。ただCERNは、発見の確率が99.9999パーセント以上だと強調しながらも、今後さらに制度を高め、ゆるぎないものにしたいといっているそうだ。
今回同時に発見の栄誉を分かち合った二つの研究グループは、アトラスとCMS.このうちアトラスには、東大の浅井祥仁准教授らのグループも参加している。なにしろ巨大な設備と精密な分析を要するとあって、ふたつの研究グループには、世界中から6000人もの研究者が参加しているというから、驚きだ。
浅井准教授らは、加速器を用いて光速近くに加速した陽子同士を衝突させ、その結果生まれた物質の痕跡や光を検出器でとらえて、そのデータを統計的に解析することで、新しい粒子の存在を突き止めた。アトラスとは、浅井準教授らが用いた検出器の名前である。
CERNの発表現場には、ヒッグス粒子の存在を予言したピーター・ヒッグス氏も同席し、人々の祝福を受けたそうだ。そのヒッグス氏に是非ノーベル賞をと、ホーキング博士が推薦した。博士は、世界中の優秀な頭脳が、これまで何十年にもわたって取り組んでできなかったこの発見を、自分が生きている間なされることはないだろうと思っていたのだが、それがなされて感激しているといったそうだ。ヒッグス氏は1929年生まれなので、今年83歳、ノーベル賞を受賞する最後のタイミングだともいえる。(写真はアトラスを視察すヒッグス氏:CERNから)
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