ウィリアム・ブレイク詩集「経験の歌」 Songs of Innocence から「天使」の歌 The Angel
天使
夢を見るってどんなことなの
夢の中で女王のわたしは
やさしい天使に守られてるけど
本当は天使を憎んでいるの
夜も昼もわたしが泣くと
天使はわたしの涙をふくの
昼も夜も泣いてるわたしは
天子がいないとうれしくなるの
天使が羽ばたいて飛び去ると
朝日がばら色に輝いたわ
わたしは涙をぬぐうと身構えて
槍や楯で武装したの
すぐに天使は戻ってきたけど
わたしを見るとがっかりしたわ
わたしはもう若さを失い
白髪頭になっていたの
「煙突掃除の子」に見られたように、ブレイクにとっての天使のイメージとは、この世の不幸に虐げられたものを、神の慈愛に導いてくれる仲介者であるといえるのだが、この詩においては、天使の存在はネガティヴに描かれている。
といっても、天使自体がネガティヴであるのではない。夢の中とはいえ、天使を煙たいと思っている女の子の気持ちがネガティヴなのだ。
女の子は、天使をうるさく思うにとどまらず、積極的に天使にはむかおうとする。だがそう思ったとたん、女の子の頭は白髪で覆われ、若さを、つまり純真さを失う。
この詩が何を訴えようとしているのか、それを理解するためには、深い読みが必要だろう。
The Angel William Blake
I Dreamt a Dream! what can it mean?
And that I was a maiden Queen:
Guarded by an Angel mild:
Witless woe, was ne'er beguil'd!
And I wept both night and day
And he wip'd my tears away
And I wept both day and night
And hid from him my hearts delight
So he took his wings and fled:
Then the morn blush'd rosy red:
I dried my tears & armed my fears,
With ten thousand shields and spears.
Soon my Angel came again;
I was arm'd, he came in vain:
For the time of youth was fled
And grey hairs were on my head.
関連リンク: 英詩のリズム>ブレイク詩集「経験の歌」
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