ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「愛の園」 The Garden of Love (壺齋散人訳)
愛の園
心はずませ 愛の園に出かけてみたら
見たことのない光景に出会った
いつも遊んでた広場の上には
教会の建物が建っていたんだ
教会の門は閉じられていて
立ち入り禁止と書いてあるんだ
仕方なく花壇のほうへ引き返し
すずしい木陰を探そうとしたら
そこは墓地に変わっていたんだ
花のかわりに 墓石が並び
牧師たちが 見張りをしている
僕は茨で縛られたように 悲しい気持になったんだ
愛の園とは、無垢の心が遊ぶことの出来るエデンの楽園をイメージしているのであろう。それが今ではすっかり変わってしまい、教会の建物と墓地によって占められてしまった。しかもそれらは来るものを険しく拒んでいる。
幼い頃の思い出を求めて愛の園にやってきた少年は、見張りの牧師たちによって茨で縛られたように傷ついてしまうのだ。
この詩は、ほかならぬ教会が、人々を神の手から遠ざけているのだと批判しているようだ。ブレイク自身は急進的な清教徒として、伝統的な教会のあり方に反感を覚えていた。そんなブレイクにとって、愛の園は人々が直接神と向き合うところであるべきなのに、教会がそれを妨げていると写ったのである。
The Garden of Love William Blake
I went to the Garden of Love, of Love
And saw what I never had seen:
A Chapel was built in the midst,
Where I used to play on the green.
And the gates of this Chapel were shut,
And Thou shalt not. writ over the door;
So I turn'd to the Garden of Love,
That so many sweet Bowers bore.
And I saw it was filled with graves,
And tomb-stones where flowers should be:
And Priests in black gowns, were walking their rounds,
And binding with briars, my joys & desires.
関連リンク: 英詩のリズム>ブレイク詩集「経験の歌」