陶淵明「飲酒二十首」より其十五「貧居乏人工」を読む。
飮酒其十五
貧居乏人工 貧居 人工に乏しく
灌木荒余宅 灌木 余が宅を荒らす
班班有翔鳥 班班として翔鳥有るも
寂寂無行迹 寂寂として行迹無し
宇宙一何悠 宇宙 一に何ぞ悠かなる
人生少至百 人生 百に至ること少し
歳月相催逼 歳月 相催して逼り
鬢邊早已白 鬢邊 早や已に白し
若不委窮達 若し窮達を委(す)てずんば
素抱深可惜 素抱 深く惜しむべし
貧居には手入れもままならず、潅木が繁って家の周りも荒れている、鳥が空を翔ることはあっても、人の往来することは滅多にない、
宇宙は何と遥かなことか、それに対して人生は百に満たない、歳月が瞬く間に去り、自分はもう白髪だらけになってしまった、貧乏だの栄達などというつまらぬ観念をすてないと、深く後悔することになろう
宇宙の広大なるに対して人間の一生が短いことを歌い、その短い一生を納得できるように生きたいと歌う。
酒は表には出てこないが、納得できる生き方の中には、存分酒を飲むことが含まれているのであろう。
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