赤いバラ:水彩で描く折々の花(壺齋散人画)

バラは人類の歴史と同じほどの長い間人々に愛されてきた。地球の温帯域にはどこでも自生しているので、人の目にとまることが多かったのだろう。花の美しさとともに、薫り高い匂いが、人々にくつろぎをもたらした。また美しい花が、棘に守られていることも、複雑な気持ちを掻き立てたに違いない。
日本でも万葉の時代から、バラは人々に愛でられていた。そのころはバラを「うばら」とか「うまら」とかいっていた。それが後に「バラ」と変わったのである。
万葉集には、バラを歌ったものとして、次の二首が収められている。
からたちと茨刈り除け倉建てむ屎遠くまれ櫛造る刀自:忌部首(3832)
(からたちとバラの木を取り除いて倉を建てるぞ、糞をするなら遠いところでしなさいよ、櫛を作るご婦人方)
道の辺の茨(うまら)の末(うれ)に延(は)ほ豆のからまる君を別(はか)れか行かむ:丈部鳥(4352)
(道の辺のバラの先にからまる豆のつるのように、わたしに絡まりついて離れないあなたを、ひとり置いていかねばならないのだろうか)
関連リンク: 水彩画を楽しむ
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