コデマリ(小手毬):水彩で描く折々の花(壺齋散人画)

コデマリは春から初夏にかけて、庭の一隅を涼しく彩ってくれる背の低い花木だ。決して鮮やかではないが、細く垂れ下がった枝の先に、房のように花を咲かせるその姿は、清楚なイメージを喚起する。場所をとらず、しかも丈夫なので、小さな庭を飾るには重宝する。
花の形は一見、アジサイに似ている。五弁の小さな花びらが20から25ほど集まって一つの房をなし、それが寄り集まって一本の木を飾る。その様子がアジサイのようにも見えるのだ。ひとつひとつの房は白い色をしていることから、手毬のようにも見える。そこからコデマリ(小手毬)という名が生まれた。
原産地は中国で、日本へは古い時代に伝わったらしい。しかし古歌の中にコデマリを歌ったものがあるのかどうか、筆者はつまびらかにしない。
花言葉には、優雅、品位、友情といったものがある。しなやかでしかものびのびとした風情が、優雅なイメージに結びついたのだろう。
コデマリとは別にオオテマリというものがある。やはり手毬のような花を咲かせるのだが、こちらはスイカズラの仲間で、バラの仲間たるコデマリとは縁が遠い。むしろコデマリに近いのは、初春に咲く雪柳のほうだ。
この絵は筆者の家の庭に咲いているコデマリを描いたもの。玄関先のあまり日の当たらぬところに植えてあるのだが、このように見事に咲いた。
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