ドクダミ:水彩で描く折々の花(壺齋散人画)

ドクダミは雑草といっていいほどありふれた花なので、こんなものに絵心をそそられるものは、あまりいないかもしれない。しかし近寄ってよく眺めると、赤茶色の茎の先に四弁の白い花びらと、その上にちょこんと乗った黄緑色の粒々が、なんともいえず愛嬌があって面白い。
花びらに見えるのは実は苞で、その上の棒状のものにへばりついている粒々が本当の花だという。ちょっと目にはそうはみえない。
とにかく丈夫な植物である。やや湿ったところを好み、日照はあまり必要としない。個々の茎は地下茎のようなものでつながっていて、その地下茎を伸ばしては、生育の面積を増やしていく。放って置くと数年後には大きな群落を形成する。
日本人は昔から、ドクダミを薬草として用いて来た。ドクダミを毒痛みとも書くのは、その効用を珍重してのことだろう。地上部を乾燥させたものを粉末にして保存しておき、これを湯で割って、解毒剤として服用する。筆者は飲んだことがないが、苦味がきいているらしい。
東南アジアでは、ドクダミを野菜として食う地域もあるという。ただそちらのドクダミは日本のもののように匂いが強くなく、苦味も弱いらしい。
花言葉は追憶。何故そんな連想が生まれたのか、よくはわからない。
この絵は筆者の家の庭に咲いているドクダミを描いたものだ。北側のあまり日の当たらないところに、群をなして咲く。
家内はドクダミが嫌いで、見つけ次第に引っこ抜いてしまう。これはその間隙をぬって、目ざとくスケッチしたものだ。
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