コスモス(秋桜):水彩で描く折々の花(壺齋散人画)

コスモスは秋桜とも表示されて、日本の秋にはなくてならないほど身近な花になった。だが原産地はメキシコの高原地帯で、日本に伝わったのは明治以降のことに過ぎない。生命力が強く、やせた土地にも生えるので、日本古来の草花をおしのけて繁茂しているほどだ。
菊の仲間で、線のように細い茎の先に、赤や白やピンクの小さな花をつける。線が余りにも細いので、折れてしまわないかと心配になるほどだが、弾力性があるとみえて、強い風にも折れることがない。種類によっては数メートルも高く伸びるものがある。
この花がコスモスと名付けられたのは、小さいながら鮮やかな色に光る花弁が野原に無数に群がりあって咲くさまが、星の群れを連想させたからだという。コスモスという言葉はもともと星空を意味し、それが転じて宇宙という意味になった。
コスモスは日本人にとって付き合いの浅い花なので、和歌は無論その他の文芸でも取り上げられることは少なかったが、俳句には有名なものがある。
コスモスを 離れし蝶に 谿深し
この句を作ったのは水原秋桜子。秋桜を号にするくらいだから、よほどコスモスが好きだったのだろう。
なお、コスモスの花言葉は純真とか真心である。花の可憐なイメージがそのような言葉に結びついたのだろう。
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