ビートルズをはじめて聴いたときの驚きは今でも忘れられない。あれは筆者が高校生だったときだ。
それまで音楽といえば、クラシックを別にすれば、美空ひばりや三橋美智也の歌う歌謡曲が主体だった。日本の歌謡曲というものは、民謡や浪花節と同類で、節回しだけで聞かせるところが今でもある。そこが単調に聞こえる。当時青年だった筆者にとっては、歌というものはそんなものなんだと思われる一方、そこに飽き足らないものを感じてもいた。
ポール・アンカやニール・セダカらのアメリカンポップスは、日本の歌謡曲には得られない面白みがあって、一時期よく聞いたものだった。
ところがビートルズの歌は、それまで聞いたどんな歌とも違っていた。まずびっくりしたのはハーモニーが美しいということだった。日本の歌謡曲にはハーモニーの要素は全くないし、アメリカンポップスにもハーモニーを意識させるものはほとんどなかった。
ビートルズの曲はハーモニーと並んで、リズム感も抜群だった。エルヴィス・プレスリーを聞いたものの耳にも、そのリズム感は圧倒的だった。
こんなわけで、筆者は青年期の入り口でビートルズに魅せられてしまい、以後彼らの音に耳を洗われながら今日まで生きてきた。
ところでビートルズの音楽には、音の魅力もさることながら、言葉にも人をとらえる迫力がある。歌詞をよく分析すると、言葉自身にリズム性があるほか、意味する内容も魅力的だ。筆者はそこにマザーグースの世界に通ずるものを読み取ったりする。
このサイトでは、そんなビートルズの歌を取り上げ、その魅力の秘密に迫ってみたいと思う。
取り上げた歌はすべて、ビートルズのツーセット組のアンソロジーから取った。