フランス民謡から「月の坊や」Jean de la Lune(壺齋散人による歌詞の日本語訳)
暖かい春の日です
100年も前のこと
パセリの葉の下で
生まれました
月の坊や 月の坊や
キノコみたいにまん丸で
とってもかよわくて
オウムのような色をして
おしゃべりなの
月の坊や 月の坊や
爪楊枝を杖にして
瞬きしながらよちよち歩き
いつも眠ってるの
かぼちゃの中で
月の坊や 月の坊や
森の中にでかけては
あちこちさ迷い歩くの
すると小鳥たちが歌うの
輪になって
月の坊や 月の坊や
くるみの車に乗って
時々遠出をするの
花咲く道に沿って
微笑みながら
月の坊や 月の坊や
小川が突然現れて
渡れないときには
一とびで飛び越えるのよ
葉っぱの上を
月の坊や 月の坊や
坊やが死んだらみな悲しんで
かぼちゃの中に埋めました
十字架にはこんな文字
ここに眠る
月の坊や 月の坊や
森の中で生まれた不思議な男の子のお話です。パセリの葉の下で生まれ、キノコのようにまん丸とした男の子のイメージは、月からやってきた使者のように受け取られています。フランス版の、それも男の子を主人公にした、竹取物語です。
Jean de la Lune
Par une tiède nuit de printemps,
Il y a bien de cela cent ans,
Que sous un brin de persil sans bruit
Tout menu naquit
Jean de la Lune, Jean de la Lune.
Il était gros comme un champignon
Frêle, délicat, petit, mignon
Et jaune et vert comme un perroquet
Avait un bon caquet
Jean de la Lune, Jean de la Lune.
Pour canne, il avait un cure-dent
Clignait de l'oeil, marchait en boitant,
Et demeurant en toute saison
Dans un potiron
Jean de la Lune, Jean de la Lune.
Quand il se risquait à travers bois,
De loin, de près, de tous les endroits,
Merles, bouvreuils sur leurs mirlitons,
Répétaient en rond :
Jean de la Lune, Jean de la Lune.
On le voyait passer quelquefois
Dans un coupé grand comme une noix,
Et que le long des sentiers fleuris
Traînaient deux souris,
Jean de la Lune, Jean de la Lune.
Si par hasard, s'offrait un ruisseau,
Qui l'arrêtait sur place aussitôt,
Trop petit pour le franchir d'un bond,
Faisait d'herbe un pont
Jean de la Lune, Jean de la Lune.
Quand il mourut, chacun le pleura
Dans son potiron, on l'enterra,
Et sur sa tombe on écrivit
Sur la croix : Ci-gît
Jean de la Lune, Jean de la Lune.
関連サイト: シャンソンの世界:歌詞の翻訳と解説
ありがとうございます。
壺斎散人様ブログ「壺斎閑話」より転載と明記させていただきます。
ご興味がございましたら、劇場へもお運びくださいませ。
響人さま お申し出の件につきましては、ソースを明示していただければ、異存ありません
はじめまして。
同名の(Jean de la lune)というフランスの芝居の上演を予定している劇団の者です。
実は、この民謡の日本語訳を探しておりました。
よろしければ、パンフレットに、貴殿の訳詩を使わせて頂きたいのですが、ご了承願えますでしょうか?
よろしくお願い申し上げます。
公演の詳細は、ブログに掲載しております。
ご連絡戴ければ幸いです。
月の坊や、何て可愛らしい! でも、何処を読んでも楽しいのですが、何かしら一抹の悲しさが漂っているのは、 最後に死んでしまうからですね。 もしかして、未婚の娘が困って、それは小さい赤ちゃんをパセリ畑にそっと置いて行ったのでは? それとも小さい妖精の子供?
100年前の事を書いてますから、まるで死んでしまった坊やを回向するかのように、あやすように、優しい言葉で書かれていますね。