今年の1月半ばに発生した土星のサンダーストームが9月半ばを過ぎても存在しているというので、観測史上の最長記録だとして、天文学者たちをにぎわしている。これまでは2007年12月から2008年7月までにかけての7ヶ月半が最長だった。
サンダーストームとは、地球上で発生する雷電と同じく、電気の嵐である。だがその規模が桁外れに巨大だ。今回のものは幅が3000キロ、電気の強さは地球上のものの10000倍以上だという。
土星にサンダーストームが発生する場所は大体決まっている。赤道の環の南側にある「嵐の通路」 Storm Alley と呼ばれる場所だ。この場所には雷の生成に欠かせない、水分からなる雲が存在しているらしい。
地球上の雷はそんなに長く持続することが無いのに、何故土星のサンダーストームは数ヶ月もの間続くのか。まだ詳しくは分っていないが、土星の季節的リズムと関係している可能性が強いらしい。
土星の軌道は地球よりはるかに長く、地球の29倍以上の時間をかけて太陽の周りを一回転する。この29年間のなかで、サンダーストームの発生しやすい時期があるらしいのだ。専門家の一部は数年前から、土星が現在こうした季節に入っていると考えているわけだ。
上の写真(AFP提供)は、惑星探査機カッシーニが送ってきたものだ。この写真からはよく見て取ることができないが、赤道の環の南側に、うすいピンク色のサンダーストームが写されているという。
写真は又、土星の惑星を鮮やかに写し出していた。画面の左側から右側にかけて4つ、エンケラドゥスとディオネ(どちらも白い氷上の惑星)、オレンジ色のタイタン、白いミマスである。いずれも土星の表面に黒い影を落としていた。タイタンは50以上ある惑星の中で最大のものだ。
土星本体は表面の大部分がガスでできていて、比重は水よりも軽いとされている。そんな星に何故水を含んだ雲が発生し、それが巨大なサンダーストームを巻き起こすのか、人々の想像力を刺激してやまない。
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