マルスリーヌ・ヴァルモールの詩「贈り帰された花」La fleur renvoyée(壺齋散人訳)
甘美な気分も
楽しい思い出もさようなら
わたしの心は傷ついて
あなたにはもう治せない
軽やかな希望に満ちた
あの幸せな日々は
つかの間のことだったのね
あなたのくれた花みたいに
もう何もほしくないの
あなたにも会いたくない
生きてることさえ面倒なの
希望が何の役に立ちましょう
こんなに不安なのですもの
あなたの胸には飛び込めないわ
ひとつぶの涙を流すだけで
あなたの面影がしぼんでしまうの
あなたを愛したおかげで
わたしの心は乱れてしまった
それなのにまだうぶな
わたしをもてあそぶつもり?
陶酔のときは過ぎたのよ
このお花はお返しするわ
でも言葉は要らないでしょう?
とても一言ではいえないわ
恋多き女マルスリーヌの、これも失恋の歌だが、普通の失恋とは違うようだ。マルスリーヌはここでは、男に捨てられた嘆きをうたっているのではなく、自分のほうから男に愛想尽かしをしたといっている。つまりこれは、女から男へ投げ捨てられた絶縁状なのだ。
La fleur renvoyée
Adieu, douce pensée,
image du plaisir !
Mon âme est trop blessée,
tu ne peux la guérir.
L' espérance légère
de mon bonheur
fut douce et passagère,
comme ta fleur.
Rien ne me fait envie,
je ne veux plus te voir.
Je n' aime plus la vie,
qu' ai-je besoin d' espoir ?
En ce moment d' alarme
pourquoi t' offrir ?
Il ne faut qu' une larme
pour te flétrir.
Par toi, ce que j' adore
avait surpris mon coeur ;
par toi, veut-il encore
égarer ma candeur ?
Son ivresse est passée ;
mais, en retour,
qu' est-ce qu' une pensée
pour tant d' amour ?
関連サイト:フランス文学と詩の世界 >マルスリーヌ・デボルド・ヴァルモール
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