アメリカの格付け会社スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)が27日、日本の外貨建て・自国通貨建ての長期ソブリン格付けをAAからAA─に引き下げた。
AA─は21あるランクのうち上から4番目、中国やクウェートと同位、財政危機が懸念されているスペインより下だ。ちなみに最高位のスリーAは、アメリカ、イギリス、フランスだ。
格下げの理由は、日本の政府債務比率がさらに悪化し、それに伴い財政の柔軟性がさらに低下すると予想されること。S&Pはこう言った上で、「民主党(Democratic Party of Japan、DPJ)政権には日本の財政赤字の悪い側面に対処する一貫した戦略が欠けているように思われる」と批判している。
こういわれた形の民主党政権、菅さんは記者たちの質問に対して、「その方面のことは疎くて、よくわからない」と答えたそうだ。また枝野官房長官も、「一民間企業のいうことだ」と切り捨てた。
たしかにS&Pはアメリカの一民間企業に過ぎない、しかし、その言うことには世界経済を動かすだけの迫力がある。菅内閣はそうした事実に敏感でないといけない。
S&Pの発表を受けて、円相場が早速下落した。市場は現金なものだ。しかし短期トレンドとしても、円が大幅に下落することはないだろうと見られている。
というのも、日本の国債の保有者の95パーセントは国内の投資家であり、格下げの影響がすぐに及ぶとは予想されないからだ。しかし今後日本の貯蓄率が低くなり、国際市場での資金調達の割合が増えてくるようだと、格下げの影響は強く現れるようになる。現在ユーロ諸国を悩ましている問題に、日本も何時直面するかもわからない。
それ故、いまのうちから財政規律はきちんとしておかなければならない。また、内閣の構成員も、経済の仕組みについてもっと勉強しなければならない。でなければ、国民が不幸な目をみることになる。(写真はロイター提供)
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