北朝鮮についての情報を発信している「臨津江」(Rimjingang) というメディアが、日本でも2008年から活動している。発信元はアジアプレスと称する団体だが、これに生の情報を提供しているのは、北朝鮮人だ。彼らは北朝鮮の現状について、それこそ命がけで取材活動を続けているという。
現在北朝鮮国内でRimjingangのために取材活動している人は8人、いづれも中国で秘密取材のテクニックを学んだあと、北朝鮮各地に散らばって、北朝鮮の情報を発信している。発信といっても、見つかったら確実に殺されるから、命がけだ。簡単に見つからないように、さまざまな工夫に迫られているらしい。
いづれにしても彼らが集めた情報は、USBなどに保存され、中国経由で日本に転送される。そこで編集された上で、WEB上で公開され、更には本の形でも出版される。
彼らのもたらす北朝鮮人民の生活状況は悲惨なものだ。最近は、若い女性のホームレスを映し出したヴィデオ映像を発信したが、それが目も当てられないほど悲惨だったために、見たものを例外なく驚愕させた。
体制内におけるこうした批判的な動きは、他にもある。たとえばOPEN RADIOという放送局は、フリーの記者3人に携帯電話を持たせて、北朝鮮人民の悲惨な状況などを取材させているという。
また先日、金正恩への中国からの贈り物を積んだ列車が、平安道内でサボタージュにあい、脱線させられる事件が起こったが、これは当地の役人がすぐさま、情報をOPEN RADIOに提供した。
こうした活動は、公になれば命に係るが、北朝鮮にも情報の発信に自分の命をかけるものが現れたということだろう。彼らが最も望んでいるのは、北朝鮮人民の悲惨さと南の豊かさの対比を、世界中の人びとはもちろん、北朝鮮の人びとにも知ってほしいということだ。
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