蘇軾の七言絶句「王寂に贈る」(壺齋散人注)
與君暫別不須嗟 君と暫く別る 嗟するを須ひず
俯仰歸來鬢未華 俯仰のうちに歸來せん 鬢未だ華ならざるに
記取江南煙雨裏 記取す 江南煙雨の裏
靑山斷處是君家 靑山斷ゆる處 是れ君が家
あなたとは暫しの別れ、嘆くには及びません、すぐにまた帰ってきますよ、白髪頭になる前には、忘れません江南煙雨の風景にあって、青山が絶えるところ、そこが君の家であるってことを
元豊八年五月、蘇軾は俄に登州(山東省蓬莱県)の知事に任命された。神宗が死んで幼い哲宗が即位し、宣仁皇太后が摂政の地位に就くと、蘇軾を贔屓していた皇太后が蘇軾の復活を図ったのだった。だが一時に中央というわけにもいかず、とりあえずは登州の知事に任命したのだった。
任命を拝した蘇軾は一家を伴って山東に移ることになった。この詩はその折に、親しくしていた隣人に贈ったものであろう。別れを惜しむ友人に、蘇軾はすぐにまた戻ってくるといって慰めている。
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