今年(2012年)は杜甫生誕1300年にあたる。そういうわけか、杜甫のパロディーが中国のネット上で大ブームになっているという。教科書に紹介されている杜甫の挿絵(上の写真)を材料にして、杜甫に楽器を弾かせたり、馬に乗せたり、中には女の子を抱かせてみたりと、さまざまな仕草をさせることで、杜甫を笑いのネタにしようとするもので、それこそ無数のいたずら書きがネット上を飛び回っているということだ。
人民網によると、そうしたいたずら書きにあらわれている杜甫の表情は、どれもみな教科書に載っているイメージを殆どそのままに採用している。そのせいか、原作にみなぎっている謹厳なイメージと、偽の杜甫が行っている奇矯な行為とが著しいアンバランスをかもしだし、それがまた笑いを誘うことともなっているのだそうだ。
こうした風潮に対して、自制を呼びかける動きもある。四川省成都にある杜甫草堂博物館は、いま杜甫生誕1300年祭の準備を進めているが、落書きの中には下品なものも多く見受けられ、杜甫のイメージが損なわれる恐れもあるとして、杜甫と伝統文化を尊重するように、ネットユーザーに呼びかけている。
また杜甫の生まれ故郷河南省の詩歌協会も、「杜甫の精神は中華民族の精神の光そのものであり、そのイメージを汚し貶めるような行為は許されない」と訴えた。
一方で、こうした落書きが流行るのは、何も杜甫を貶めようという意図からではなく、杜甫が愛されていることの現れだという見方もある。人民網はそうした見方の一つとして「教科書に載っている歴史的人物のイメージをリメイクしたいという学生やネットユーザーの欲求が現れたものだ」という日本人漫画家の分析を紹介している。
いずれにしても千年以上の時空を超えて人々を動かすのは並大抵のことではない。杜甫がそれだけ偉大だということだ。
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