津波はどこまで巨大化するのか、3.11をきっかけに突きつけられたこの大きな問いに対して、世界中の地震学者が回答を求めて取り組んでいる。その取りくみの様子の一端を、NHKの番組が伝えていた。(MEGAQUAKEⅡ 巨大地震 第2回 津波はどこまで巨大化するのか)
番組はまず、地震の原因となる海底トラフの振動がどのように津波を引き起こすのか、そのメカニズムを紹介している。その結果一回限りの振動ではそんなに大きな津波にはならないが、いくつかの振動が重なると、そのエネルギーが増幅されて巨大な津波になると、そのメカニズムを明らかにしていた。振動の回数と、その波の重なり具合によって、場合によっては、今回のような最大30メートルを超えるような津波になる。
いままで日本国内では余り注目されていなかったが、今回の地震の影響で、ハワイや南米のチリにまで4メートルの津波が押し寄せていたということだ。
3.11と同じように巨大な津波は、東海トラフや、南海トラフでも起こる可能性がある、と番組は警告していた。先日公表された南海トラフを震源とする巨大津波の発生はかなり実現性がたかいというわけなのだ。
海外の学者の研究も踏まえて、次のようなことがわかってきた。われわれがこれまでに手にしていた過去の地震データは、せいぜい数百年前に遡る程度だったが、その後の研究で2000年前ほどまでさかのぼることが可能になった。その結果わかったことは、巨大津波は、数百年単位で繰り返す可能性が高いということだった。
地震学者の中には、「世界は巨大地震が連鎖する"活動期"に突入したのではないか」というものもいる。
たとえば地震学の第一人者ケリー・シー教授は、スマトラ沖の地震が2000年以降活発化し、その結果2004年、2005年、2007年と、連続的に大きな津波に襲われた。最初の大地震がその周囲にエネルギーを伝達することで、連鎖的な地震と津波が起こったと考えているわけだ。
これと同じメカニズムによって、日本でも今後、東海トラフや南海トラフで巨大地震と巨大津波が発生する可能性は非常に高いという。番組のシミュレーションによれば、四国や紀伊半島では30メートルを超える巨大津波におそわれる可能性が高い。
首都圏も例外ではない。これまで首都圏は余り巨大な津波が来るとは想定されてこなかったが、それは甘い。たとえば東海地震の影響で、相模湾周辺で発生した津波は、東京湾を遡って首都圏に到達し、広範な範囲に襲い掛かる可能性がある。地下街などにいた人は逃げ場を失うであろう。
3.11をきっかけに、地震にかんする情報が飛躍的に増えてきた。そうした中で、今後襲い掛かるかもしれない地震や津波に対し、出来る限りの対策をする必要がある。ここまできたらもはや、想定外という言い訳はありえない、と番組は結んでいた。(写真はNHKから)
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