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漢詩と中国文化




2009年2月19日

宮中行樂詞八首其二:李白

李白の五言律詩「宮中行樂詞八首其二」(壺齋散人注)

  柳色黄金嫩  柳色 黄金にして嫩(やはら)かに
  梨花白雪香  梨花 白雪にして香し
  玉樓巣翡翠  玉樓 翡翠巣くひ
  金殿鎖鴛鴦  金殿 鴛鴦を鎖す
  選妓隨雕輦  妓を選びて雕輦に隨はしめ
  徴歌出洞房  歌を徴(め)して洞房を出でしむ
  宮中誰第一  宮中誰か第一なる
  飛燕在昭陽  飛燕は昭陽に在り

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清平調詞:李白

李白の七言絶句「清平調詞」(壺齋散人注)

  名花傾國兩相歡  名花傾國 兩つながら相ひ歡ぶ
  長得君王帶笑看  長(つね)に得たり君王の笑みを帶びて看るを
  觧釋春風無限恨  觧釋す 春風無限の恨みを
  沈香亭北倚闌干  沈香亭北 闌干に倚る

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2009年2月27日

子夜呉歌:李白

李白の七言古詩「子夜呉歌」(壺齋散人)

  長安一片月  長安一片の月
  萬戸擣衣聲  萬戸衣を擣(う)つの聲
  秋風吹不盡  秋風吹いて盡きず
  總是玉關情  總て是れ玉關の情
  何日平胡虜  何れの日にか胡虜を平らげて
  良人罷遠征  良人遠征を罷めん

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烏夜啼:李白

李白の七言古詩「烏夜啼」(壺齋散人注)

  黄雲城邊烏欲棲  黄雲 城邊 烏棲まんと欲し
  歸飛啞啞枝上啼  歸り飛び啞啞として枝上に啼く
  機中織錦秦川女  機中錦を織る秦川の女
  碧紗如煙隔窗語  碧紗煙の如く 窗を隔てて語る
  停梭悵然憶遠人  梭を停め 悵然として遠人を憶ふ
  獨宿孤房涙如雨  獨り孤房に宿して涙雨の涙し

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2009年3月 5日

杜陵絶句:李白

李白の五言絶句「杜陵絶句」(壺齋散人注)

  南登杜陵上  南のかた杜陵の上に登り
  北望五陵間  北のかた五陵の間を望む
  秋水明落日  秋水 落日明らかに
  流光滅遠山  流光 遠山滅す

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少年行:李白

李白の七言絶句「少年行」(壺齋散人注)

  五陵年少金市東  五陵の年少 金市の東
  銀鞍白馬度春風  銀鞍 白馬 春風を度る
  落花踏盡遊何處  落花踏み盡くして何れの處にか遊ぶ
  笑入胡姫酒肆中  笑って入る胡姫の酒肆の中

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2009年3月11日

灞陵行送別:李白

李白の雑言古詩「灞陵行送別」(壺齋散人注)

  送君灞陵亭       君を送る灞陵亭
  灞水流浩浩       灞水流るること浩浩たり
  上有無花之古樹    上には無花之古樹有り
  下有傷心之春草    下には傷心之春草有り
  我向秦人問路岐    我秦人に向って路岐を問へば
  云是王粲南登之古道 云ふ是れ王粲南登之古道なりと
  古道連綿走西京    古道連綿として西京に走り
  紫闕落日浮雲生    紫闕 落日 浮雲生ず
  正當今夕斷腸處    正に當たる 今夕斷腸の處
  鸝歌愁絶不忍聽    鸝歌愁絶して聽くに忍びず

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月下独酌:李白

李白の五言古詩「月下独酌」四首其一(壺齋散人注)

  花間一壺酒  花間 一壺の酒
  独酌無相親  独り酌みて相ひ親しむ無し
  挙杯邀明月  杯を挙げて明月を邀へ
  対影成三人  影に対して三人と成る
  月既不解飲  月既に飲むを解せず
  影徒随我身  影徒らに我が身に随ふ
  暫伴月将影  暫らく月と影とを伴って
  行樂須及春  行樂須らく春に及ぶべし
  我歌月徘徊  我歌へば月徘徊し
  我舞影零乱  我舞へば影零乱す
  醒時同交歓  醒むる時同(とも)に交歓し
  醉后各分散  醉ひて后は各おの分散す
  永結無情遊  永く無情の遊を結び
  相期邈雲漢  相ひ期せん 邈(はる)かなる雲漢に

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2009年3月19日

待酒不至:李白

李白の五言律詩「酒を待てど至らず」(壺齋散人注)

  玉壺繫青絲  玉壺 青絲に繫ぎ
  沽酒來何遲  酒を沽(か)って來ること何ぞ遲き
  山花向我笑  山花 我に向って笑ふ
  正好銜杯時  正に杯を銜むに好き時
  晩酌東窗下  晩酌す 東窗の下
  流鶯復在茲  流鶯復た茲に在り
  春風與醉客  春風と醉客と
  今日乃相宜  今日乃ち相ひ宜し

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前有一樽酒行二首其二:李白

李白の雑言古詩「前に一樽の酒有るの行(うた)」(壺齋散人注)

  琴奏龍門之綠桐  琴は奏す 龍門の綠桐
  玉壺美酒清若空  玉壺の美酒 清きこと空の若し
  催弦拂柱與君飲  弦を催し柱を拂って君と飲む
  看朱成碧顏始紅  朱を看て碧と成し顏始めて紅なり
  胡姫貌如花     胡姫は貌(かんばせ)花の如く
  當壚笑春風     壚に當たりて春風に笑ふ
  笑春風 舞羅衣   春風に笑ひ 羅衣を舞はしむ
  君今不醉欲安歸  君今醉はずして安(いづく)にか歸らんと欲する

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2009年3月26日

春日醉起言志:李白

李白の五言古詩「春日醉起して志を言ふ」(壺齋散人注)

  處世若大夢  世に處るは大夢の若し
  胡爲勞其生  胡爲(なんすれ)ぞ其の生を勞する
  所以終日醉  所以(ゆえ)に終日醉ひ
  頽然臥前楹  頽然として前楹に臥す
  覺來盼庭前  覺め來って庭前を盼(み)れば
  一鳥花間鳴  一鳥 花間に鳴く
  借問此何時  借問す 此れ何の時ぞ
  春風語流鶯  春風に 流鶯は語る
  感之欲歎息  之に感じて歎息せんと欲し
  對酒還自傾  酒に對すれば還た自から傾く
  浩歌待明月  浩歌して明月を待ち
  曲盡已忘情  曲盡きて已に情を忘る

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2009年3月27日

將進酒:李白

李白の雑言古詩「將に酒を進めんとす」(壺齋散人注)

  君不見黄河之水天上來  君見ずや 黄河の水天上より來り
  奔流到海不復回      奔流して海に到り復た回(かへ)らざるを
  君不見高堂明鏡悲白髮  君見ずや 高堂の明鏡白髮を悲しみ
  朝如青絲暮成雪      朝には青絲の如くも暮には雪と成るを
  人生得意須盡歡      人生 意を得なば 須らく歡を盡くすべし
  莫使金樽空對月      金樽をして空しく月に對せしむる莫かれ
  天生我材必有用      天の我が材を生ずるや必ず用有り
  千金散盡還復來      千金は散じ盡くすも還た復た來らん
  烹羊宰牛且爲樂      羊を烹(に)牛を宰して且らく樂しみを爲さん
  會須一飲三百杯      會らず須らく一飲三百杯なるべし

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2009年4月 1日

下終南山過斛斯山人宿置酒:李白

李白の五言古詩「終南山を下り斛斯山人の宿を過りて置酒す」(壺齋散人注)

  暮從碧山下  暮に碧山より下れば
  山月隨人歸  山月人に隨って歸る
  卻顧所來徑  來る所の徑を卻顧すれば
  蒼蒼橫翠微  蒼蒼として翠微に橫はる
  相攜及田家  相ひ攜へて田家に及べば
  童稚開荊扉  童稚 荊扉を開く
  綠竹入幽徑  綠竹 幽徑に入り
  青蘿拂行衣  青蘿 行衣を拂ふ
  歡言得所憩  歡言 憩ふ所を得て
  美酒聊共揮  美酒 聊か共に揮ふ
  長歌吟松風  長歌 松風に吟じ
  曲盡河星稀  曲盡きて河星稀なり
  我醉君復樂  我醉へり君も復た樂しめ
  陶然共忘機  陶然として共に機を忘れん

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對酒憶賀監:李白

李白の五言律詩「酒に對して賀監を憶ふ」(壺齋散人注)

  四明有狂客  四明に狂客有り
  風流賀季真  風流なる賀季真
  長安一相見  長安に一たび相ひ見しとき
  呼我謫仙人  我を謫仙人と呼ぶ
  昔好杯中物  昔は杯中の物を好みしが
  今爲松下塵  今は松下の塵と爲れり
  金龜換酒處  金龜 酒に換へし處
  卻憶涙沾巾  卻って憶へば涙巾を沾す

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2009年4月 7日

李白後半生の流浪の旅:偉大な創造の時期

744年(天宝三年)長安を追われた李白は黄河を下って魯(山東)へと向かった。その途中洛陽で杜甫と出会い、汴州で高適と出会う。意気投合した三人は共に河南に遊んだ。そして翌年の春、李白は魯の石門で杜甫と別れ、東魯の沙丘というところで結婚して家を持った。これは李白の三度目の結婚であり、妻との間に二人の子を設けている。後に「東魯の二稚子に寄す」という詩の中で歌っている子どもたちは、この結婚で生まれた子であると考えられる。

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梁園吟::李白

李白の雑言古詩「梁園吟」(壺齋散人注)

  我浮黄河去京闕  我黄河に浮かんで京闕を去り
  挂席欲進波連山  席(むしろ)を挂けて進まんと欲すれば波山を連ぬ
  天長水闊厭遠渉  天は長く水は闊くして遠渉に厭き
  訪古始及平臺間  古を訪うて始めて及ぶ平臺の間
  平臺爲客憂思多  平臺に客と爲りて憂思多く
  對酒遂作梁園歌  酒に對して遂に作る梁園の歌
  却憶蓬池阮公詠  却って憶ふ蓬池の阮公の詠
  因吟淥水揚洪波  因って吟ず淥水洪波を揚ぐるを
  洪波浩蕩迷舊國  洪波 浩蕩 舊國に迷ひ
  路遠西歸安可得  路遠くして西歸安んぞ得る可けんや
  人生達命豈暇愁  人生命に達すれば豈に愁ふるに暇あらん
  且飲美酒登高樓  且らく美酒を飲まん高樓に登りて

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魯郡東石門送杜二甫:李白

李白の五言律詩「魯郡の東石門にて杜二甫を送る」(壺齋散人注)

  醉別復幾日  醉別 復た幾日ぞ
  登臨徧池臺  登臨 池臺に徧(あまね)し
  何言石門路  何ぞ言はん石門の路
  重有金樽開  重ねて金樽の開く有ると
  秋波落泗水  秋波 泗水に落ち
  海色明徂徠  海色 徂徠に明らかなり
  飛蓬各自遠  飛蓬 各自遠し
  且盡手中杯  且く手中の杯を盡くさん

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2009年4月15日

登金陵鳳凰臺:李白

李白の七言律詩「金陵の鳳凰臺に登る」(壺齋散人注)

  鳳凰臺上鳳凰遊  鳳凰臺上 鳳凰遊ぶ
  鳳去臺空江自流  鳳去り臺空しくして江自づから流る
  呉宮花草埋幽徑  呉宮の花草は幽徑に埋もれ
  晉代衣冠成古丘  晉代の衣冠は古丘と成る
  三山半落青天外  三山半ば落つ青天の外
  二水中分白鷺洲  二水中分す白鷺洲
  總爲浮雲能蔽日  總て浮雲の能く日を蔽ふが爲に
  長安不見使人愁  長安見えず 人をして愁へしむ

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蘇臺覽古:李白

李白の七言絶句「蘇臺にて古を覽る」(壺齋散人注)

  舊苑荒臺楊柳新  舊苑 荒臺 楊柳新たなり
  菱歌清唱不勝春  菱歌 清唱 春に勝(た)へず
  只今惟有西江月  只今 惟だ有り 西江の月
  曾照呉王宮裏人  曾て照らす呉王宮裏の人

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2009年4月22日

烏棲曲:李白

李白の七言古詩「烏棲曲」(壺齋散人注)

  姑蘇臺上烏棲時  姑蘇臺上 烏棲む時
  呉王宮裏醉西施  呉王の宮裏 西施醉ふ
  呉歌楚舞歡未畢  呉歌 楚舞 歡び未だ畢らず
  青山欲銜半邊日  青山銜(ふく)まんと欲す半邊の日
  銀箭金壺漏水多  銀箭 金壺 漏水多し
  起看秋月墜江波  起って看る秋月の江波に墜つるを
  東方漸高奈樂何  東方漸く高し 樂しみを奈何せん

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