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中国古代の詩




2008年03月17日

古詩十九首:五言古詩の源流

古詩十九首は、南朝梁の昭明太子によって編纂された「文選」に始めて収録された。それ以来古詩の範とされ、また五言の冠ともされて、後代に大きな影響を及ぼした。文選よりやや遅れてなった「玉台新詠集」にも、同じ内容のものが、順序を異にして収められているほか、歴史上折につれて編纂された詩歌集に必ずといっていいほど収められてきた。

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2008年03月18日

行行重行行:別離の詩(古詩十九首其一)

古詩十九首から其一「行行重行行」を読む。

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2008年03月24日

青青たる河畔の草:捨てられた女の悲しみ(古詩十九首其二)

古詩十九首から其二「青青たる河畔の草」を読む。

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2008年03月25日

青青たる陵上の柏:人生楽しむべし(古詩十九首其三)

古詩十九首から其三「青青たる陵上の柏」を読む。

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2008年03月31日

今日良宴會:出世のすすめ(古詩十九首其四)

古詩十九首其四:今日良宴會

  今日良宴會  今日の良宴會
  歡樂難具陳  歡樂 具さには陳べ難し
  彈箏奮逸響  箏を彈じて逸響を奮ひ
  新聲妙入神  新聲の妙 神に入る
  令德唱高言  令德 高言を唱へば
  識曲聽其真  曲を識りて其の真を聽く
  齊心同所願  心を齊しうし願ふ所を同じうするも
  含意俱未申  意を含んで俱に未だ申さず
  人生寄一世  人生の一世に寄すること 
  奄忽若飆塵  奄忽として飆塵の若し
  何不策高足  何ぞ高足に策うち
  先據要路津  先づ要路の津に據らずして
  無為守貧賤  無為に貧賤を守り
  坎坷長苦辛  坎坷 長しへに苦辛する

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2008年04月02日

西北有高樓:寡婦の嘆き(古詩十九首其五)

古詩十九首其五:西北有高樓

  西北有高樓  西北に高樓有り
  上與浮雲齊  上は浮雲と齊し
  交疏結綺窗  交疏せる結綺の窗
  阿閣三重階  阿閣三重の階
  上有弦歌聲  上に弦歌の聲有り
  音響一何悲  音響 一に何ぞ悲しき
  誰能為此曲  誰か能く此の曲を為す
  無乃杞梁妻  乃ち杞梁の妻なる無からんか
  清商隨風發  清商 風に隨って發し
  中曲正徘徊  中曲にして正に徘徊す
  一彈再三歎  一たび彈じて再三歎じ
  慷慨有餘哀  慷慨 餘哀有り
  不惜歌者苦  歌者の苦を惜しまず
  但傷知音稀  但 知音の稀なるを傷む
  願為雙鴻鵠  願はくは雙鴻鵠と為りて
  奮翅起高飛  翅を奮ひ起って高く飛ばんことを

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2008年04月08日

涉江采芙蓉:別れの寂しさ(古詩十九首其六)

古詩十九首其六「涉江采芙蓉」

  涉江采芙蓉  江を涉りて芙蓉を采る
  蘭澤多芳草  蘭澤 芳草多し
  采之欲遺誰  之を采りて誰にか遺らんと欲する
  所思在遠道  思ふ所は遠道に在り
  還顧望舊鄉  還顧して舊鄉を望めば
  長路漫浩浩  長路 漫として浩浩たらん
  同心而離居  同心にして離居せば
  憂傷以終老  憂傷 以て終に老いなん

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明月皎として夜光る:色あせる友情(古詩十九首其七)

古詩十九首其七「明月皎として夜光る」

  明月皎夜光  明月 皎として夜光り
  促織鳴東壁  促織 東壁に鳴く
  玉衡指孟冬  玉衡 孟冬を指し
  眾星何歷歷  眾星 何ぞ歷歷たる
  白露沾野草  白露 野草を沾し
  時節忽複易  時節 忽ち複た易はる
  秋蟬鳴樹間  秋蟬 樹間に鳴き
  玄鳥逝安適  玄鳥逝りて安くにか適く
  昔我同門友  昔 我が同門の友
  高舉振六翮  高舉して六翮を振るふ
  不念攜手好  手を攜へし好しみを念はず
  棄我如遺跡  我を棄つること遺跡の如し
  南箕北有鬥  南には箕 北には斗あり
  牽牛不負軛  牽牛 軛を負はず
  良無磐石固  良に磐石の固きこと無くんば
  虛名複何益  虛名 複た何の益かあらん

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2008年04月15日

冉冉たる孤生の竹:婚約した女の気持(古詩十九首其八)

古詩十九首其八「冉冉たる孤生の竹」

  冉冉孤生竹  冉冉たる孤生の竹
  結根泰山阿  根を泰山の阿に結ぶ
  與君為新婚  君と新婚を為すは
  菟絲附女蘿  菟絲の女蘿に附くなり
  菟絲生有時  菟絲 生ずるに時あり
  夫婦會有宜  夫婦 會するに宜あり
  千里遠結婚  千里 遠く婚を結び
  悠悠隔山陂  悠悠 山陂を隔つ
  思君令人老  君を思へば人をして老いしむ
  軒車來何遲  軒車 來ること何ぞ遲き
  傷彼蕙蘭花  傷む 彼の蕙蘭の花
  含英揚光輝  英を含みて光輝を揚げ
  過時而不采  時を過ぎて采らずんば
  將隨秋草萎  將に秋草の萎むに隨はんとするを
  君亮執高節  君 亮に高節を執らば
  賤妾亦何為  賤妾 亦何をか為さん

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庭中に奇樹有り:女の切ない思い(古詩十九首其九)

古詩十九首其九「庭中に奇樹有り」

  庭中有奇樹  庭中に奇樹有り
  綠葉發華滋  綠葉 華滋を發く
  攀條折其榮  條を攀じて其の榮を折り
  將以遺所思  將に以て思ふ所に遺らんとす
  馨香盈懷袖  馨香 懷袖に盈つれども
  路遠莫致之  路遠くして之を致すなし
  此物何足貴  此の物何ぞ貴ぶに足らんや
  但感別經時  但 別れて時を經たるに感ずるのみ

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2008年04月22日

迢迢たる牽牛星:牽牛織女七夕の詩(古詩十九首其十)

古詩十九首から其十「迢迢たる牽牛星」を読む。

  迢迢牽牛星  迢迢たる牽牛星
  皎皎河漢女  皎皎たる河漢の女
  纖纖擢素手  纖纖として素手を擢(あ)げ
  劄劄弄機杼  劄劄として機杼を弄す
  終日不成章  終日 章を成さず
  泣涕零如雨  泣涕 零ちて雨の如し
  河漢清且淺  河漢 清く且つ淺し
  相去複幾許  相去ること複た幾許ぞ
  盈盈一水間  盈盈たる一水の間
  脈脈不得語  脈脈として語るを得ず

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盛衰各々時あり;人生は金石にあらず(古詩十九首其十一)

古詩十九首から其十一「盛衰各々時あり」を読む。

  回車駕言邁  車を回らせて駕して言に邁き
  悠悠涉長道  悠悠として長道を涉る
  四顧何茫茫  四顧すれば何ぞ茫茫たる
  東風搖百草  東風 百草を搖がす
  所遇無故物  遇ふ所 故物無し
  焉得不速老  焉んぞ速やかに老いざるを得んや
  盛衰各有時  盛衰 各々時あり
  立身苦不早  立身 早からざるを苦しむ
  人生非金石  人生は金石にあらず
  豈能長壽考  豈に能く長く壽考ならんや
  奄忽隨物化  奄忽として物に隨って化す
  榮名以為寶  榮名 以て寶と為さん

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2008年04月29日

東城高く且つ長し:不遇の才能を嘆く(古詩十九首其十二)

古詩十九首から其十二「東城高く且つ長し」を読む。

  東城高且長  東城 高く且つ長く
  逶迤自相屬  逶迤として自づから相屬す
  回風動地起  回風 地を動かして起り
  秋草萋已綠  秋草 萋として已に綠なり
  四時更變化  四時 更ごも變化し
  歲暮一何速  歲暮 一に何ぞ速き
  晨風懷苦心  晨風 苦心を懷き
  蟋蟀傷局促  蟋蟀 局促を傷む
  蕩滌放情志  蕩滌して情志を放にせん
  何為自結束  何為れぞ自から結束する
  燕趙多佳人  燕趙 佳人多く
  美者顏如玉  美なる者 顏 玉の如し
  被服羅裳衣  羅の裳衣を被服し
  當戶理清曲  戶に當りて清曲を理む
  音響一何悲  音響 一に何ぞ悲しき
  弦急知柱促  弦 急にして柱の促れるを知る
  馳情整巾帶  情を馳せて巾帶を整へ
  沉吟聊躑躅  沉吟して聊く躑躅す
  思為雙飛燕  思ふ 雙飛燕と為りて
  銜泥巢君屋  泥を銜んで君が屋に巢くはんことを

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人生忽として寄するが如し(古詩十九首其十三)

古詩十九首から其十三「人生忽として寄するが如し」を読む。

  驅車上東門  車を上東門に驅り
  遙望郭北墓  遙かに郭北の墓を望む
  白楊何蕭蕭  白楊 何ぞ蕭蕭たる
  松柏夾廣路  松柏 廣路を夾む
  下有陳死人  下に陳死の人有り
  杳杳即長暮  杳杳として長暮に即く
  潛寐黃泉下  黃泉の下に潛み寐ねて
  千載永不寤  千載 永く寤めず
  浩浩陰陽移  浩浩として陰陽移り
  年命如朝露  年命 朝露の如し
  人生忽如寄  人生 忽として寄するが如く
  壽無金石固  壽には金石の固き無し
  萬歲更相送  萬歲 更も相送り
  賢聖莫能度  賢聖 能く度ゆる莫し
  服食求神仙  服食して神仙を求むれば
  多為藥所誤  多くは藥の誤る所と為る
  不如飲美酒  如かず 美酒を飲みて
  被服紈與素  紈と素とを被服せんには

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2008年05月06日

去る者は日に以て疏し:古詩十九首其十四

古詩十九首から其十四「去る者は日に以て疏し」を読む。

  去者日以疏  去る者は日びに以て疏く
  来者日已親  来る者は日びに已に親しむ
  出郭門直視  郭門を出でて直視すれば
  但見丘與墳  但 丘と墳とを見るのみ
  古墓犁為田  古墓は犁かれて田と為り
  松柏摧為薪  松柏は摧かれて薪と為る
  白楊多悲風  白楊 悲風多く
  蕭蕭愁殺人  蕭蕭として人を愁殺す
  思還故里閭  故の里閭に還らんことを思ひ
  欲歸道無因  歸らんと欲するも道に因る無し

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生年百に満たず(古詩十九首其十五)

古詩十九首から其十五「生年百に満たず」を読む。

  生年不滿百  生年 百に滿たざるに
  常懷千歲憂  常に千歲の憂ひを懷く
  晝短苦夜長  晝は短くして夜の長きに苦しむ
  何不秉燭遊  何ぞ燭を秉りて遊ばざる
  為樂當及時  樂しみを為すは當に時に及ぶべし
  何能待來茲  何ぞ能く來茲を待たん
  愚者愛惜費  愚者は費を愛惜し
  但為後世嗤  但 後世の嗤ひと為る
  仙人王子喬  仙人王子喬は
  難可與等期  與に期を等しうすべきこと難し

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2008年05月13日

凜凜として歲雲に暮る:夢の出会い(古詩十九首其十六)

古詩十九首から其十六「凜凜として歲雲に暮る」を読む。

  凜凜歲雲暮  凜凜として歲雲に暮れ
  螻蛄夕鳴悲  螻蛄 夕べに鳴き悲しむ
  涼風率已厲  涼風 率かに已に厲しく
  遊子寒無衣  遊子 寒くして衣無し
  錦衾遺洛浦  錦衾 洛浦に遺りしも
  同袍與我違  同袍 我と違へり
  獨宿累長夜  獨り宿して長夜を累ね
  夢想見容輝  夢に想ふて容輝を見る
  良人惟古歡  良人 古歡を惟ひ
  枉駕惠前綏  駕を枉げて前綏を惠まる
  願得常巧笑  願はくは常に巧笑し
  攜手同車歸  手を攜へ車を同じうして歸ることを得んと
  既來不須臾  既に來りて須臾ならず
  又不處重闈  又重闈に處らず
  亮無晨風翼  亮に晨風の翼無し
  焉能淩風飛  焉んぞ能く風を淩いで飛ばん
  眄睞以適意  眄睞 以て意に適ひ
  引領遙相希  領を引いて遙かに相希ふ
  徙倚懷感傷  徙倚して感傷を懷き
  垂涕沾雙扉  涕を垂れて雙扉を沾す

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2008年05月14日

孟冬寒氣至る:夫からの手紙(古詩十九首其十七)

古詩十九首から其十七「孟冬寒氣至る」を読む。

  孟冬寒氣至  孟冬 寒氣至り
  北風何慘栗  北風 何ぞ慘栗たる
  愁多知夜長  愁ひ多くして夜の長きを知り
  仰觀眾星列  仰いで眾星の列なるを觀る
  三五明月滿  三五 明月滿ち
  四五蟾兔缺  四五 蟾兔缺く
  客從遠方來  客 遠方より來り
  遺我一書劄  我に一書劄を遺る
  上言長相思  上には長く相思ふと言ひ
  下言久離別  下には久しく離別すと言ふ
  置書懷袖中  書を懷袖の中に置き
  三歲字不滅  三歲なるも字滅せず
  一心抱區區  一心に區區を抱き
  懼君不識察  君の識察せざらんことを懼る

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2008年05月20日

客遠方より來る:古詩十九首其十八

古詩十九首から其十八「客遠方より來る」を読む。

  客從遠方來  客 遠方より來り
  遺我一端綺  我に一端の綺を遺る
  相去萬餘裏  相去ること萬餘裏なるも
  故人心尚爾  故人の心尚ほ爾り
  文采雙鴛鴦  文采は雙鴛鴦
  裁為合歡被  裁ちて合歡の被と為す
  著以長相思  著するに長相思を以てし
  緣以結不解  緣とるに結不解を以てす
  以膠投漆中  膠を以て漆中に投ずれば
  誰能別離此  誰か能く此を別離せん

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2008年05月21日

明月何ぞ皎皎たる:離れた夫を思う(古詩十九首其十九)

古詩十九首から其十九「明月何ぞ皎皎たる」を読む。

  明月何皎皎  明月 何ぞ皎皎たる
  照我羅床幃  我が羅の床幃を照らす
  憂愁不能寐  憂愁 寐ぬる能はず
  攬衣起徘徊  衣を攬りて起ちて徘徊す
  客行雖雲樂  客行 樂しと雲ふと雖も
  不如早旋歸  早く旋歸するに如かじ
  出戶獨彷徨  戶を出でて獨り彷徨し
  愁思當告誰  愁思 當に誰にか告ぐべき
  引領還入房  領を引いて還って房に入れば
  淚下沾裳衣  淚下りて裳衣を沾す

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