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英詩のリズム




冬に寄す To Winter:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「冬に寄す」 To Winter(壺齋散人訳)

  おお冬よ、お前の堅固な扉を閉ざせ!
  お前は北国に 暗くて深い住処を建てた
  お前の屋根を揺するな
  鉄の車で柱を曲げたりするな

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2009年2月16日

宵の明星 To the Evening Star:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「宵の明星」 To the Evening Star(壺齋散人訳)

  金色の髪をした夕暮れの天使よ
  今や太陽が山の端に憩うとき
  お前の明るい愛の松明で照らしておくれ
  輝く冠をつけて夕べの寝床に微笑みかけておくれ
  そして私たちの愛に微笑みかけておくれ
  お前が空の青い帳を引くときには
  眠りに目を閉じた花々に銀の露をまきかけておくれ
  西風を湖水の上で眠らせておやり
  輝く目で静かに語っておくれ
  夕靄を銀で洗い流しておくれ
  やがてお前が消え去ると 狼が暴れまわり
  ライオンは薄暗い森に目を光らし
  羊たちの毛はお前の聖なる露にぬれる
  羊たちをお前の霊力で守っておくれ

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朝に寄す To Morning:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「朝に寄す」 To Morning(壺齋散人訳)

  おお聖なる処女よ! 純白の衣を着て
  天空の黄金の門を開き 出てきておくれ
  天空で眠っている夜明けを起こし
  東の空から光を注がせておくれ
  そして目覚める日に蜜のような露を贈っておくれ
  おお輝く朝よ 狩人のように起き上がった
  太陽にご挨拶なさい
  そしてバスキンを履いて私たちの丘に現れなさい

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2009年2月25日

歌1 Song No1:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「歌1」Song No1(壺齋散人訳)

  何と楽しく野から野へとさまよい歩き
  夏の栄華の限りを味わっていたことでしょう
  そのうち私は愛の王子を見かけたの
  太陽の光の中を滑っていたわ

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歌2 Song No2 :ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「歌2」 Song No2(壺齋散人訳)

  私の絹衣も素敵な衣装も
  私の微笑も物憂さも
  みな恋が追い払ってしまった
  すると悲しみやつれた絶望がきて
  私にイチイの木を贈りそれで墓を飾れという
  本当の恋もこんな終わり方をするもの

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2009年3月 2日

歌3(双生樹) Song No3:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「歌3」 Song No3(壺齋散人訳)

  愛と調和が一緒になって
  私たちの魂にまといつく
  君の枝は私の枝と絡み合い
  私たちの根っこは結ばれている

  私たちの枝には喜びがあふれ
  高らかに音をたてやさしく歌う
  足元のせせらぎが合流するように
  無垢と清純とが出会う

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歌4 Song No4:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「歌4」 Song No4(壺齋散人訳)

  僕は陽気な踊りが好きだ
  息遣いも柔らかに歌いながら
  無垢な眼差しが見つめあい
  娘さんが舌足らずにしゃべる

  僕は笑いさざめく谷間が好きだ
  こだまする丘が好きだ
  みな浮かれ騒ぎに夢中になり
  陽気な若者は遠慮なく笑う

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2009年3月10日

歌5 Song No5:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「歌5」 Song No5(壺齋散人訳)

  思い出よ こっちへ来て
  楽しい調べを奏でておくれ
  お前の音楽が風に乗って
  ふわふわ漂っている間に
  私は恋人たちが夢見ている
  小川の流れを見つめながら
  水の鏡を横切った
  妖精たちを釣り上げよう

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狂気の歌 Mad Song:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「狂気の歌 」Mad Song(壺齋散人訳)

  荒々しい風が音をたて
  夜が冷たい
  眠りよ こっちへきて
  悲しみを包んでおくれ
  だが見よ!朝日が
  東の崖に頭を出した
  夜明けの騒がしい鳥たちが
  地上のものたちを笑う

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2009年3月16日

微笑 The Smile:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク「ピカリング草稿」から「微笑」 The Smile(壺齋散人訳)

  愛の微笑があり
  偽りの微笑がある
  そしてこの二つの微笑を含めた
  微笑の中の微笑がある

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2009年3月17日

心の旅人 The Mental Traveller:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク「ピカリング草稿」から「心の旅人」 The Mental Traveller(壺齋散人訳)

  私は人間たちの国を旅した
  男たちと女たちからなる国を
  そこで誰もが聞いたことのないような
  冷酷で恐ろしい話を聞いた

  そこでは子どもは歓喜のうちに生まれ
  苦痛のうちに孕まれる
  我々が辛い涙でまいた種の
  果実を喜びのうちに収穫するように

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2009年3月25日

夢の国 The Land of Dreams:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク「ピカリング草稿」より「夢の国」 The Land of Dreams(壺齋散人訳)

  起きな 坊や 目を覚ますんだ
  お母さんだって心配するよ
  眠りながら何故そんなに泣くんだ?
  さあ起きな お父さんが守ってやるから

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無垢の予兆 Auguries of Innocence:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク William Blakeの詩集「ピカリング草稿」から「無垢の予兆」Auguries of Innocence(壺齋散人訳)

  一粒の砂の中に世界を見
  一輪の花に天国を見るには
  君の手のひらで無限を握り
  一瞬のうちに永遠をつかめ

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2009年3月30日

のっぽのロング・ジョン:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク「ピカリング草稿」から「のっぽのロング・ジョンと小さなメリー・ベル」 Long John Brown and Little Mary Bell(壺齋散人訳)

  小さなメリー・ベルの木の実には妖精が住んでいた
  のっぽのロング・ジョンの腹の中には悪魔がいた
  ロング・ジョンはメリー・ベルに恋をした
  そこで妖精が悪魔を木の実に誘った

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愛を語ってはならない Never seek to tell thy Love:ブレイク

ウィリアム・ブレイク「ロゼッティの写本」から「愛を語ってはならない」 Never seek to tell thy Love(壺齋散人訳)

  決して愛を語ってはならない
  愛とは語られることの出来ないもの
  やさしい風がそよぐときも
  静かに 見えないようにそよぐように

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2009年4月 6日

君は信じない You don't believe:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク「ロゼッティ草稿」から「君は信じない」 You don't believe(壺齋散人訳)

  君は信じない 私も信じてもらおうとはしない
  君は寝むっている 私も起きてもらおうとはしない
  さあそのまま寝ていたまえ その快適な眠りのうちで
  君は命の明るい流れから理性を汲み取ることだろう
  理性とニュートン この二つは異なったものだ
  ツバメやスズメもそう歌っているとおり

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キューピッド Why was Cupid a boy:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク「ロゼッティ草稿」から「キューピッド」 Why was Cupid a boy(壺齋散人訳)

  キューピッドは何故男の子なのか
  男の子が何故キューピッドになったのか
  私の見る限りでは
  女の子でもよかったはずだ

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2009年4月21日

女王に To the Queen:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク William Blake の「ロゼッティ写本」から「女王に」To the Queen(壺齋散人訳)

  死の扉は金で作られ
  人の目には決して見えない
  だけれども目が閉じられ
  体が冷たく横たわると
  魂が目覚めてあたりをさまよい
  その手には黄金のカギを持つ
  墓は天国への黄金の門
  貧者も富者もそれを目指す
  イギリスの護民官よ
  この荘厳な門を見よ!

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永遠のゴスペル The Everlasting Gospel:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク William Blake「ロゼッティ写本」から「永遠のゴスペル」 The Everlasting Gospel(壺齋散人訳)

  君たちが見るキリストのヴィジョンは
  私のヴィジョンにとっては大きな敵だ
  君たちのは君たちのような鉤鼻をしている
  私のは私のようなシシ鼻だ

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2009年4月28日

天国と地獄の結婚:ウィリアム・ブレイク

ウィリアム・ブレイク「天国と地獄の結婚」The Marriage of Heaven and Hellから序詞を読む。(壺齋散人訳)

  リントラが吼え 重苦しい空に火を吹き上げる
  飢えた雲が海面に垂れ込める

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