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詩人の魂




2008年4月 3日

林檎畑 Le verger :レミ・ド・グールモン

林檎畑 Le verger :レミ・ド・グールモンの詩集「シモーヌ」Simone から(壺齋散人訳)

  シモーヌ 林檎畑へ行こう
  枝で編んだバスケットをもって
  畑に入るときには
  林檎の木に語りかけよう
  林檎の季節が来たねと
  林檎畑へ行こう シモーヌ
  林檎畑へ行こうよ

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2008年4月 4日

枯葉 Les feuilles mortes :レミ・ド・グールモン

枯葉 Les feuilles mortes :レミ・ド・グールモンの詩集「シモーヌ」 Simone から(壺齋散人訳)

  シモーヌ 森へ行こう 枯葉が落ちて
  コケや石畳や小道を覆っているよ

  シモーヌ 枯葉を踏む音が好きかい?

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2008年4月 9日

ブロンドの林 La forêt blonde :レミ・ド・グールモン

レミ・ド・グールモンの最後の詩集「気晴らし」 Divertissement は1912年に出版された。そのときグールモンは50をとっくに過ぎていたのであるが、その老いの情熱の中から、女の妖しい美しさを歌った一連の詩を生み出したのだった。それらはいわば彼にとっての白鳥の歌だったわけである。

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2008年4月10日

不敬の祈り Oraisons mauvaises :レミ・ド・グールモン

レミ・ド・グールモンの詩集「気晴らし」 Divertissement から「不敬の祈り」Oraisons mauvaises を読む。(壺齋散人訳)

    Ⅰ

  お前の手に神の祝福を 汚れたお前の手に!
  お前の手の節々には罪が隠れている
  お前の手の白い皮の白っぽい陰の合間には
  秘めやかな愛撫の強烈な匂いが染み付いている
  お前の指先で死につつある囚われのオパール
  それは磔にされたキリストの最後の溜息だ

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2008年4月16日

ステファヌ・マラルメ Stéphane Mallarmé :生涯と作品

ステファヌ・マラルメ Stéphane Mallarmé (1842-1898) は、ポール・ヴェルレーヌやアルチュール・ランボーと並んでフランスの象徴主義(サンボリズム)を代表する詩人である。しかし同じく象徴主義の名を冠せられても、マラルメの作品は他の誰にも似ることのない、独特の雰囲気をもっている。言語のシンタックスや意味にとらわれず、言葉の持つ音楽性と形態を自由に展開させたその作風は、歴史的にも先例をみないものである。だから彼は真の意味で、孤高の詩人というに相応しい。

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乾杯 Salut :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩「乾杯」Salut を読む。(壺齋散人訳)

  この泡と 処女なる詩が
  描かれているのは聖餐の杯
  彼方ではシレーヌの一群が溺れ
  みな身を逆さにしている

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2008年4月17日

あらわれ Apparition :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩「あらわれ」Apparition(壺齋散人訳)

  月は悲しみに沈んでいた
  涙にくれた翼の天使が夢見心地に弓を持ち
  湿った花々に囲まれながら ビオラを弾くと
  白く咽ぶ音は紺碧の花弁の上をすべっていった

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2008年4月23日

空しい願い Placet futile :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩「空しい祈り」 Placet futile を読む。(壺齋散人訳)

  王女さま! へベが担いだ壺から水が流れ出し
  それがあなたの唇を潤すさまが妬ましくて
  わたしはわたしで火を使う でも司祭のようにではなく
  またセーブルの皿にあなたの裸体を描くこともしない

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2008年4月24日

苦悩 Angoisse :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩集「苦悩」Angoisse を読む。(壺齋散人訳)

  人間の罪に満ちた獣よ 今宵はお前の肉体を
  征服するためにきたのではない
  またお前の不純な髪を我が接吻で倦怠に包み
  悲しい嵐をかき回そうとも思わぬ

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2008年4月30日

鐘を撞く男 Le Sonneur :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩「鐘を撞く男」を読む。(壺齋散人訳)

  鐘が美しい音色をたてて
  朝の澄み渡った空気に響き渡り
  ラヴェンダーとタイムの花に囲まれ
  祈りを捧げる子どもに届く

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2008年5月 1日

マラルメ夫人の扇 Éventail de Madame Mallarmé

ステファヌ・マラルメの詩「マラルメ夫人の扇」 Éventail de Madame Mallarméを読む。(壺齋散人訳)

  言霊を振り放つような
  あなたの扇の一振りが
  未来の詩句を解き放つ
  その貴重な棲家から

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2008年5月 7日

マラルメ嬢の扇 Autre Éventail de Mademoiselle Mallarmé

ステファヌ・マラルメの詩「マラルメ嬢の扇」 Autre Éventail de Mademoiselle Mallarmé を読む。(壺齋散人訳)

  夢多き子よ 道なき道をたどり
  お前の純粋な喜びのうちに浸れるように
  嘘でもよいから言っておくれ
  私の翼をお前の手で受け止めてくれると

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2008年5月 8日

エドガー・ポーの墓 Le Tombeau d'Edgar Poe :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩「エドガー・ポーの墓」Le Tombeau d'Edgar Poe を読む。(壺齋散人訳)

  ついに永遠が彼自身の姿となって現れたかのように
  詩人が諸刃の剣を振りかざして起き上がると
  同時代人たちは改めて思い知らされるのだ
  この奇怪な声の中に勝ち誇っている死のことを

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2008年5月15日

ボードレールの墓 Le Tombeau de Baudelaire :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩「ボードレールの墓」Le Tombeau de Baudelaire を読む。(壺齋散人訳)

  埋まった宮殿の排水口の奥にのぞいているのは
  墓の中からよだれのように染み出たガラクタども
  ぞっとするようなアヌビスの彫像
  その獣のようにとがった鼻面
 

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ヴェルレーヌの墓 Tombeau de Verlaine :マラルメ

ステファヌ・マラルメの詩「ヴェルレーヌの墓」Tombeau (de Verlaine) を読む。(壺齋散人訳)

  黒い墓石が吹きまくる北風に怒る
  それでも存在することをやめず 背教の点でなら
  自分は人間の悪意に似ていると感じて
  死者の遺影に冥福を祈るのだ

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2008年5月22日

牧神の午後 L'Après-Midi d'un Faune :マラルメ

牧神の午後はマラルメ畢生の傑作というべき作品であり、通常の文法を軽視した独特の言葉配置、またその言葉の流れの音楽性において、際立った特徴を有している。クロード・ドビュッシーはこの詩の音楽的な美しさに感動し、同名の有名な曲を作り、また20世紀の詩人たちにも限りないインスピレーションを与えた。

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秋の嘆き Plainte d'Automne :マラルメ「綺語詩篇」

マラルメはボードレールに倣って散文の詩もつくった。それらはあまり多い数ではないが、いづれもマラルメらしさが現れている。散文といいながら音楽性にこだわり、書かれている内容も難解きわまるものだ。マラルメはそれらの散文詩をまとめて、「綺語詩篇」Anecdotes ou Poemes と名付けた。

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2008年5月28日

ポール・ヴァレリー Paul Valéry :生涯と作品

ポール・ヴァレリー Paul Valéry (1871-1945) は、大詩人であるとともに20世紀のフランスを代表する偉大な知性として認められている。その活動は、詩や文学のほか、音楽をはじめとした多彩な芸術分野、歴史、哲学、数学など様々な領域に渡っており、生涯に渡って知の巨人というに相応しい活動振りを見せた。

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2008年5月29日

糸を紡ぐ女 La Fileuse:ポール・ヴァレリー

糸を紡ぐ女 LA FILEUSE(ポール・ヴァレリー:壺齋散人訳)

  青い空がのぞいている窓辺で毛糸を紡ぐ女
  外では花壇がメロディアスに揺れている
  古い糸車の単調な音に女はうっとりとした

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友愛の森 Le bois amical :ヴァレリー

友愛の森 Le bois amical (ポール・ヴァレリー:壺齋散人訳)

  わたしたちは純粋な事柄を考えていた
  道々 肩を並べて歩きながら
  わたしたちは互いの手を握っていた
  言葉少なに 名も知らぬ花に囲まれ

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