筆者のブログ「壺齋閑話」は、エントリーが4200件を超えて、重量オーバーとなりました。そこで、新しいブログを別途立ち上げました。「続壺齋閑話」といいます。今後はそちらの方を閲覧いただきたく、ご案内申し上げます。リンクは、こちら(続壺齋閑話) をクリックしてください。

大嶽秀夫氏の著作「日本型ポピュリズム」(中公新書)は、1990年代以降に現れたポピュリズム型政治家についての分析であり、小泉純一郎と田中真紀子に焦点を当てて、主に彼らの政治姿勢について考察を加えているのであるが、その前段として、戦後日本政治における政策軸というべきものをお浚いしている。筆者にはその部分が興味深く受け取れた。そこで、氏の分析を参考にしながら、戦後日本政治を貫いていた政策軸を、筆者なりに改めて整理してみようという気になった。

歴史を語る場合の切口にはいくつものやり方があるが、もっともわかりやすくて、かつドラマティックなものは、英雄を中心に描くことである。これを英雄史観という。英雄史観は読み物としても面白い要素があるので、大衆受けもする。その反面、個人に対して過剰なスポットがあてられる結果、歴史の全体的な流れが歪曲される危険が付きまとう。これを克服して、歴史と個人の相互作用を過不足なく描くことができれば、それは一流の歴史物語になる資格がある。

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南天のホウオウ(フェニックス)座の方角に、我々の銀河系から57億光年離れた巨大銀河団が見つかって、フェニックス銀河団と名付けられた。この銀河団は我々の銀河が属する銀河団の1000倍もの質量をもち、年に740個もの恒星を生み出していることが分かった。

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中世ヨーロッパの人々にとっては、肉体の悦楽を肯定することは異教的な堕落であり、ましてそれを賛美することは、神への許しがたい冒涜行為だとする観念が支配的だった。しかし肉体の賛美がまったく存在の余地を持たなかったかといえば、そうでもない。中世の民衆は、たとえば「薔薇物語」のような形で、肉欲を賛美する物語を楽しんでいたし、「デカメロン」や「カンタベリー物語」といった文学作品にも、肉欲を賛美する場面は多く描かれていたものだ。

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高倉健さんの主演映画「あなたへ」を見た。以前から高倉健さんのファンだった筆者は、数年ぶりに健さんの主演映画が公開されるとあって、何を差し置いてもと、公開初日(8月25日)に映画館に足を運んだのだった。


 ねえ、ちびっこ王子、きみの人生って、わびしいものだったんだね。だって、お日さまが沈むのを見るよりほかに、気晴らしがなかったなんて。僕には、そのことが、四日目の朝に、君と交わした対話から、わかったんだ。

蘇軾は陶淵明を深く愛し、その詩のすべてに和した。和するとは、原詩の韻をそのまま用いて新しい詩を作ることである。次韻ともいう。

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保守派の論客として知られるニアル・ファーガソン(Niall Ferguson)が、雑誌Newsweek の最近号に、オバマ大統領を強く批判する記事を寄せた。題名は Hit the Road, Barack (立ち去れ、オバマ)というショッキングなものだ。するとすかさず、クルーグマンが反論の文章をニューヨーク・タイムズのコラムに寄せた。ファーガソンのオバマ批判はお門違いだというのだ。

近世以降の日本人は、死者の遺体を火葬したうえで、その遺骨を大事に保存して敬意を払うということを基本にしてきたが、これがヨーロッパ人の目には奇異に映るのだと民俗学者の山折哲雄はいう。(「死の民俗学」)

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毎週金曜日の夕方に総理大臣官邸周辺で脱原発デモを繰り広げてきた人々の代表と、野田首相が会談の場を設けたそうだ。テレビや新聞の報道によれば、野田さんには菅元首相が付き添い、脱原発デモ側からは10名ばかりが参加して、ほぼ30分にわたり会談を行ったが、互いに主張を言い合うだけに終わり、会談とは程遠い事態に終わったそうだ。

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日本人女性ジャーナリストの山本美香さんが、内戦中のシリアで取材中、アサド軍の民兵に銃撃され、死亡する事件が起きた。山本さん(ジャパンプレス所属)は同僚のジャーナリストとともに、トルコ国境から、シリア北部の都市で激戦地となっているアレッポに入り、取材活動中にアサド政権側の民兵に襲われたということだ。

大江健三郎は「ドン・キホーテ」を壮大なパロディの体系としてとらえる。この小説そのものが、本来は騎士道物語のパロディとして構想されたのであるし、小説の内部にも、牧人小説のパロディをはじめとして、多様かつ多面的なパロディが盛り込まれている。それのみではなく、相次いで展開される様々な物語が、それに先行する物語のパロディにもなっていると言った具合に、小説全体がパロディの入れ子細工のような観を呈している。

小泉政権の外交政策については、明確な戦略性に欠けていたとの評価が強い。自民党の伝統であった対米追随姿勢を、みっともないほど強める一方、中国や韓国など東アジア諸国とは最悪の関係に陥ったというわけである。一方では、就任早々ブッシュと親密な関係を演出し、ブッシュの求めに対しては何でも応えながら、度重なる靖国参拝で東アジア諸国を挑発し、首脳レベルでの関係は冷え込んだ。地政学的にも、戦略的にも、日本としてほとんどありえない選択、というか為体を、小泉はやってのけた、そういう批判が強くある。

語基と擬態語

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阪倉篤義氏は、日本語の副詞表現のなかから、いくつかの特徴的なグループをあげている(日本語の語源)。
A~うっかり、ひっそり、ほっそり、にっこり、うっとり、にったり、こっそり、しっとり、ねっとり、のっそり、はっきり、べったり、むっくり、めっきり
B~しんみり、ほんのり、やんわり、ひんやり、まんじり、のんびり
C~すらり、ちらり、ゆらり、たらり、からり、きらり、そろり、ぐにゃり、ずばり

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NHKが尾瀬を紹介する番組を放送した(奇跡の湿原 尾瀬)。先日例の仲良しの熟女たちと尾瀬を散策したばかりで、その雄大な光景がいまだ瞼の奥に焼き付いていた筆者は、半ばは懐かしさから、半ばは知識欲から、画面に見入った次第だった。

山口昌男氏は「敗者の精神」の末尾を飾る人物として、松浦武四郎を選んでいる。幕末から維新にかけて、日本国中をくまなく歩き、それを財産として各地の民俗を研究し、晩年には各地から集めた民芸品の膨大なコレクションを楽しんでいた人物である。一般にはあまり知られることのない人物だが、山口氏ら文化人類学者の世界では一応は知られているという。日本の民俗学あるいは文化人類学の草分けといった位置づけになるらしい。

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先日失脚した元重慶市トップ薄熙来の妻で、イギリス人殺害の容疑で裁かれていた谷開来に、2年間の執行猶予つきで死刑判決が言い渡された。

小泉政権下で経済財政諮問会議の果たした役割は巨大なものだった。それは従来の官僚主導で分散型の意思決定から、官邸主導で集権型の意思決定への転換を可能にし、族議員らによる既得権益の独占を排除して、新たな政策軸を持ち込むことに成功した。小泉はこの経済財政諮問会議を最大限に活用することで、郵政民営化をはじめとした、新自由主義的な政策を次々と実行していったのである。

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「悦楽の園」はボスの最高傑作との評価が高い。トリプティクス(三連祭壇画)の形式を用いたこの作品は、他のトリプティクスが教会の祭壇を飾るに相応しい宗教的なテーマを描き出しているのに対して、宗教性は前面には出てこない。というより、人間の背徳性を前面に出しているといってもよい。そんなことからこの祭壇画は、教会の祭壇を飾るために描かれたのではなく、富裕な商人たちの現世的な道楽のために描かれたのであろうと推測されてきた。



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