日本の政治と社会


大嶽秀夫氏の著作「日本型ポピュリズム」(中公新書)は、1990年代以降に現れたポピュリズム型政治家についての分析であり、小泉純一郎と田中真紀子に焦点を当てて、主に彼らの政治姿勢について考察を加えているのであるが、その前段として、戦後日本政治における政策軸というべきものをお浚いしている。筆者にはその部分が興味深く受け取れた。そこで、氏の分析を参考にしながら、戦後日本政治を貫いていた政策軸を、筆者なりに改めて整理してみようという気になった。

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毎週金曜日の夕方に総理大臣官邸周辺で脱原発デモを繰り広げてきた人々の代表と、野田首相が会談の場を設けたそうだ。テレビや新聞の報道によれば、野田さんには菅元首相が付き添い、脱原発デモ側からは10名ばかりが参加して、ほぼ30分にわたり会談を行ったが、互いに主張を言い合うだけに終わり、会談とは程遠い事態に終わったそうだ。

小泉政権の外交政策については、明確な戦略性に欠けていたとの評価が強い。自民党の伝統であった対米追随姿勢を、みっともないほど強める一方、中国や韓国など東アジア諸国とは最悪の関係に陥ったというわけである。一方では、就任早々ブッシュと親密な関係を演出し、ブッシュの求めに対しては何でも応えながら、度重なる靖国参拝で東アジア諸国を挑発し、首脳レベルでの関係は冷え込んだ。地政学的にも、戦略的にも、日本としてほとんどありえない選択、というか為体を、小泉はやってのけた、そういう批判が強くある。

小泉政権下で経済財政諮問会議の果たした役割は巨大なものだった。それは従来の官僚主導で分散型の意思決定から、官邸主導で集権型の意思決定への転換を可能にし、族議員らによる既得権益の独占を排除して、新たな政策軸を持ち込むことに成功した。小泉はこの経済財政諮問会議を最大限に活用することで、郵政民営化をはじめとした、新自由主義的な政策を次々と実行していったのである。

小泉政権の5年余りをどう評価するかについては、いまだ様々な議論がなされている。日本の政治史の上で非常にユニークな政権であったことは間違いなく、そのことで研究者の分析視点も様々だし、肯定・否定の評価軸も一様ではない。これを肯定的に見る人には、この政権が日本の統治構造を変えたという歴史的な功績に注目する者が多く、これを否定的に見る人には、その新自由主義的政策が日本を格差社会に追いやったという点を批判する者が多い、と一応は言えるようであるが、そんなに単純には割り切れない。結局功罪相半ばするという、曖昧な評価がまかり通っているというのが現状だろう。

絞首刑は残虐なのか?もしそうなら、死刑の執行方法を見直す必要があるのか? この微妙な問題について、法務省内で検討が始まったそうだ。きっかけは裁判員裁判の導入、普通の市民が容疑者に死刑判断を下す際に、絞首刑が残虐な方法だという意識があると、適正な判断ができない場合がある。それ故、死刑の執行方法について議論を深めることで、国民の理解を得るようにしたいということらしい。

7月29日に実施された山口県知事選で、自民・公明が推薦する山本氏が、脱原発を旗印にした飯田氏を破って当選した。25万票対18万秒の差だから、それなりの数字を獲得しての勝利だった。しかし、自民・公明両党にとって手ばなしで喜べないのは、保守王国とされた山口県で、民主党が候補者を立てないという状況の下で、脱原発を掲げた飯田氏に激しい追い上げを食らったということだ。仮に民主党が候補をたてていたら、保守層が分裂して飯田氏が漁夫の利を得たかもしれない、それを考えると、手放しで喜んではいられないということだろう。

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7月23日、目下安全性を巡って問題になっているオスプレイを、米軍が岩国基地への陸揚げを強行したことについて、森本防衛大臣が「混乱なく陸揚げできて、ほっとした」と発言したところ、地元の岩国市長らが早速反発した。「いったい何にほっとしたのか」というわけだ。

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リムパック(Rimpac=環太平洋合同演習)が例年のとおりハワイ付近の海域で始まったが、今年の演習にはちょっとした異変が起きているようだ。前回(2010年)の演習では参加国が14か国に急増して話題を呼んだところだが、今年は一気に22か国に増えた。それに加えて、前回はじめてオブザーバー資格を得たロシアが、今年は正式の参加国として招かれた。一方、環太平洋圏の大国中国は参加していない。

野党に転落して3年たった自民党、一時は敗戦ショックで意気消沈しきっていたが、最近は少しずつ元気を取り戻しているようだ、消費税増税や原発政策を巡って、自分たちの言い分を与党の民主党に飲ませることができるようになってきた、そんな新たな状況が自信の回復につながっているのだろう。

野田総理大臣が議長をつとめる国家戦略会議のフロンティア分科会なるものが、国の長期ビジョンに関する報告書をまとめたが、そのなかにある「40歳定年制」の提言を巡って、ちょっとした騒ぎになっているのだそうだ。

最低賃金が生活保護の水準を下回る「逆転現象」が、東京、大阪など11の都道府県で起きていることを、厚生労働省が発表した。同省によれば、こうした現象は必ずしも珍しいことではないのだそうだが、11もの都道府県で広範囲に起きたことは、これまでにはなかったそうだ。

民主、自民、公明にみんなの党と国民新党を加えた与野党5党が、橋下「大阪都」構想を実現させる法案を今国会に提案することで合意したそうだ。内容を一言でいえば、今まで東京都に限って適用されていた特別区制度を、他の道府県にも拡大適用できるようにしようと言うものだ。

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メドヴェージェフが国後島を視察したことについて、日露関係の立て直しの必要性に言及したプーチン大統領の姿勢と反するのではないか、と日本側は(筆者も含めて)強く批判したが、それはG20の場で設定された野田・プーチン会談での合意事項を踏みにじっている、と日本側が受け取ったことが背景の一つになっていた。片方では友好をいいながら、もう片方では相手の神経を逆なでするようなことをする、ロシア側のやり方は不届き極まりない、そんな反応だったわけだ。

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メドヴェージェフ・ロシア首相が、6月3日に北方領土の国後島を視察した。大統領時代の2010年に、ロシアの最高指導者として初めて北方領土に足を踏み入れ、日本人の反発を食らったものだが、今回は首相の立場としてとはいえ、ロシアによる北方領土の実効支配を強烈にアピールする意図があることは間違いない。本人も、北方諸島(ロシア名クリール諸島)はロシアの領土だと、重ねて強調している。

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東京で数万人規模のデモを見るのは何十年ぶりのことだろう。1960年代末以来のことではなかろうか。こんなにも長い間、デモと無縁だった日本で、数万人もの人々がデモを組み、首相官邸前に押し寄せた、というのはただ事ではない。(主催者は15万といい、警視庁では、1万7千人といっている)

無覚先生:やあ、お久しぶり。ところで、ついに消費税の増税案が衆議院を通りましたね。通ったとはいえ、変な問題がいくつもくっついていて、どうもわかりにくいところが多かったね。まず、民主党内であれだけ議論があったものを、野田さんが、自民、公明を抱き込んで成立させた。おかげで民主党は分裂の可能性が一気に高まった、これはまあ、ジャーナリズム得意の政局がらみの話だよね。もう一つ、民主党には、マニフェスト違反への批判にどうこたえるのか、そこが良くわからない、野田さん自身は、自分は十分に応えたつもりのようだが、国民の殆どは、どうもそうは思っていない。更に、そもそも今現在、消費税を上げることにどれだけの正当性があるのか、そこのところがいま一つ不透明だ、そんな問題もある。ともあれ、今回の野田さんのやり方は、決められない政治からの脱却だと褒める意見がある一方、国民への公約よりも、自民・公明との野合を優先させたもので、民主主義への敵対行為だと、厳しい批判もある。相変わらず、日本の政治には分からないところが多い、あらためてそんなことを感じさせられたね。

「日本ついに核武装の道」 こんな見出しを掲げたのは「朝鮮日報」など韓国の各紙、先日(6月20日)成立した原子力規制委員会設置法の付則に、原子力の利用目的として「安全保障」の文言が盛り込まれたことに対して反応したものだ。中には、日本が核武装するなら韓国も対抗して核武装すべきだ、と気の早い主張をするものもいる。また、民間のみならず韓国政府も、日本が核武装国に転換する可能性は低いと判断しながらも、日本の動きを注視している、と言明した。

民主党が選挙制度改革の目玉として提案した小選挙区比例代表連用制は、公明党はじめ小政党にとっては、有利になるとあって評判がいいが、自民党には至って評判が悪い。というのも、この制度を適用されると、国会における議席配分上、自民党にとっては格段に不利益に働くからだ。それ故自民党の先生たちの中には、危機感を募らせ、これを憲法違反だといって、絶対粉砕を叫んでいるのもいるという。

雑誌「世界」の7月号は「橋下維新」と題して大阪維新の会を率いる橋本徹氏の政治手法について特集を組んでいる。副題に「自治なき改革の内実」とあるとおり、批判的な記事を集めている。5月号では「教育に政治が介入するとき」と題して、橋本氏による教育への露骨な政治介入を批判する特集をしていたから、リベラル派で鳴らす「世界」としては、かなりな身の入れようだ。

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