コブシ(辛夷):水彩で描く折々の花(壺齋散人画)

コブシ(辛夷)の花は春の彼岸の頃に咲く。同じ頃に咲く白木蓮とは同じ仲間で、形もよく似ているが、ひとつひとつの花はずっと小ぶりで、しかも木全体を覆うように、びっしりと咲く。こんなところから、白桜と呼ばれることもある。
日本固有の花で、英語でもそれをもとに「コブシ」というくらいだ。
コブシの名の由来は、果実が人のコブシのようにでこぼこしているからだという。漢字で辛夷と書くが、漢語で辛夷といえば、木蓮のことをさすらしい。
つぼみを乾燥させたものには、鼻づまりなどに薬効があり、辛夷(シンイ)の名で漢方薬に用いられる。花言葉は信頼。
筆者の家には、白木蓮は植えてあるが、コブシの木はない。この絵は、彼岸の墓参りのために、佐倉の寺を訪れた際に、真っ白に咲き広がっていた花に感銘を受けてスケッチしたものだ。
そのときに見たコブシの花は、存分に枝を伸び広げた大木に、雪が降り重なっているような感じがした。また花の咲きっぷりから、白い桜の木を見るようにも感じた。
筆者はベンチに腰掛けてスケッチしながら、しばしこの世に生きていることを忘れたように、その姿に見とれたものだ。
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