古詩十九首から其二「青青たる河畔の草」を読む。
古詩十九首其二:青青河畔草
青青河畔草 青青たる河畔の草
鬱鬱園中柳 鬱鬱たる園中の柳
盈盈樓上女 盈盈たる樓上の女
皎皎當窗牖 皎皎として窗牖に當たる
娥娥紅粉妝 娥娥たる紅粉の妝
纖纖出素手 纖纖として素手を出だす
昔為娼家女 昔は娼家の女たり
今為蕩子婦 今は蕩子の婦と為る
蕩子行不歸 蕩子 行きて歸らず
空床難獨守 空床 獨り守り難し
河畔の草は青々とし、園中の柳は鬱蒼としている、みずみずしい女が楼閣の上にあって、色白の姿を窓辺に寄せている、(鬱鬱は鬱蒼と茂るさま、盈盈はみずみずしいさま、皎皎は色が白く美しいさま、娥娥はあでやかで美しいさま、)
美しく化粧した装いで、か細くも白い手だ、昔は娼家の女であったが、今では蕩子の妻となっている、その蕩子が行方も知らずになって、女は一人寝が耐え難いという、(蕩子は道楽者の男)
昔は娼家の女であったものが、今では蕩子の婦となり、しかも捨てられて寂しさに耐えない、そんな女心を歌ったものである。
一句目の「青青河畔草」から六句目の「纖纖出素手」まで、畳み掛けるように重ねていく手法は、技巧に勝ったものといえようか。