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キリギリスとコオロギ On The Grasshopper And Cricket :キーツ


ジョン・キーツの詩「キリギリスとコオロギ」 On The Grasshopper And Cricketを読む。(壺齋散人訳)

  地面の詩人は決して死なない
  鳥たちが灼熱の太陽に消え入り
  涼しい木陰に隠れるときにも その声は
  牧場のあたりを 垣根から垣根へと鳴り渡る

  それはキリギリスの声だ 夏をいっそう楽しくさせ
  いつまでも歌い続けてやむことがない
  時たま歌うことに疲れたら
  雑草の繁みで一休みするのだ

  地面の詩人はやむことをしらない
  さびしい冬の夕暮れ あたりがしんと静まるときにも
  ストーブからはコオロギの声が聞こえてくる
  その声はますます暖かさを帯びて
  まどろみかけた人の耳には
  丘でキリギリスが鳴いているように聞こえる

1816年暮の作品。このときキーツはリー・ハントと詩の競争をした。キリギリスとコオロギの相違をテーマにして、どちらが当を得た詩を作れるか競ったという。

リー・ハントはこの年投獄先から開放されてハムステッドに落ち着き、その周囲に多くの若者たちが集まった。キーツもその一人だった。


On The Grasshopper And Cricket by John Keats

  The poetry of earth is never dead:
  When all the birds are faint with the hot sun,
  And hide in cooling trees, a voice will run
  From hedge to hedge about the new-mown mead;

  That is the Grasshopper's--he takes the lead
  In summer luxury,--he has never done
  With his delights; for when tired out with fun
  He rests at ease beneath some pleasant weed.

  The poetry of earth is ceasing never:
  On a lone winter evening, when the frost
  Has wrought a silence, from the stove there shrills
  The Cricket's song, in warmth increasing ever,
  And seems to one in drowsiness half lost,
  The Grasshopper's among some grassy hills.


関連リンク: 英詩のリズムジョン・キーツ John Keats :生涯と作品

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