アザミ(薊):水彩で描く折々の花
アザミの葉に手を触れて痛い思いをした人は多いことだろう。ただの痛さと違って、しびれるような感じがいつまでも続く、本当にいやな痛みだ。ぎざぎざとした葉の形がいかにも痛そうに思えるので、それとわかっていて触れる人はいないだろうが、他の雑草と混じって生えていることが多いので、思わず触ってしまう。
アザミ自身雑草と言うべきもので、日本中に生えている。その種類も多く、100近くにのぼるそうだ。道端や公園など身近で乾燥した土の上にも生える。
多くの種類は夏から秋にかけて咲くが、春に咲くものもある。俳句では春の季語に分類されている。
だがアザミを詠った俳句や和歌には、人工に膾炙するものは無いといってよい。古歌にアザミを詠ったものも見たことが無い。唯一名高いものに「アザミの歌」として知られるものがあるが、それは次のような歌詞で始まる。
山には山の愁いあり 海には海の悲しみや
まして心の花園に 咲きしアザミの花ならば
筆者には歌の趣旨がよくわからぬが、メロディがいいので、いまだに人々に愛されている。
アザミの花言葉には、独立、自尊、触らないで、といったものがある。いずれも棘によって他者を遠ざけることに由来しているのだろう。スコットランドは、アザミの棘がバイキングの侵入を防いだといういわれから、アザミを国花にしているそうだ。花が終ったあとは、タンポポのような綿毛が残り、それが風に乗って繁殖する。
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