李白の七言絶句「早(つと)に白帝城を發す」(壺齋散人注)
朝辭白帝彩雲間 朝に辭す白帝彩雲の間
千里江陵一日還 千里の江陵一日にして還る
兩岸猿聲啼不住 兩岸の猿聲啼いて住(つ)きず
輕舟已過萬重山 輕舟已に過ぐ萬重の山
朝に白帝城の彩雲の間を出発すると、千里のかなた江陵までたった一日で行き着いた、兩岸の猿聲が泣き止まないうちに、私を乗せた輕舟は無数の山々を横切ったのだ
「峨眉山月歌」に続いて長江を下るときの詩とするのが通説。このほか、夜郎に流された帰りに長江を江陵へと戻っていった時の作とする説もある。
白帝は三渓の一つクトウ渓の手前にある山、その上に立っていた城を白帝城という、江陵は長江沿岸湖北省の都市、
この詩は三峡の険しい渓谷沿いに、船が急流を下っていく様子を描いている。その船を見送るサルの声は、三峡の名物だった
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