李白の七言絶句「山中問答」(壺齋散人注)
問余何意棲碧山 余に問ふ 何の意ありてか碧山に棲むと
笑而不答心自閑 笑って答へず心自から閑なり
桃花流水杳然去 桃花流水杳然として去る
別有天地非人間 別に天地の人間に非ざる有り
俗人は私に問う、どんなつもりで碧山に棲んでいるのかと、私は笑って答えない、心のなかはおのずから静かなのだ、桃花が流れる水に落ちてはるか遠くまで去っていく、ここにこそ俗世間とは異なった別世界があるのだ
李白の詩の中でももっとも有名なもののひとつ。陶淵明の影響、特に桃花源記の影が色濃く見られる。
李白にとって陶淵明は道士としての先輩でもあり、その作風から多大な影響をこうむっている。
碧山は青々とした山、特定の山と考えなくともよい、杳然ははるかなさま、人間(じんかん)は俗世間を表す
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