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シェイクスピアのソネット30 When to the sessions


シェイクスピアのソネット30 When to the sessions of sweet silent thought(壺齋散人訳)

  静かに甘い思い出にふける折
  過ぎ去ったことどもを思い起こそうとして
  探し求めている多くのものがすでにないことに気づき
  昔の悲しみを新たにして時の流れを嘆き悲しむ

  大切な友達が果てしない死の闇に去ったことを思うと
  これまで流したことのない涙が私の目を潤す
  長い間忘れていた悲しみが私に新たな涙を催させ
  失ってしまった多くのことが私を嘆き悲しませる

  過ぎ去った日々の悲しみを思い出しては悲嘆にくれ
  重い気持ちでひとつずつ数え上げては
  昔の悲しみを改めて悲しみ直す それはとっくに
  すんでしまったはずの支払いをもう一度するようなものだ
    だが愛する友よ 君を見ている間は
    損失は償われ 悲しみは消え去る


失われた昔を嘆くこの詩には、法律用語がフンダンに用いられている。Session(法廷)、summon up(召還)、cancell(取り下げ)、account(支払い明細)といった具合だ。

昔の悲しみを改めて悲しまねばならないのは、すでに支払済みの勘定をもう一度支払わせられるようなものだと、詩人は嘆く。

だがその嘆きも、君の姿の前では償われて消えてしまう。こう歌うところは、29番の詩と同じ色合いだ。


SONNET 30 –William Shakespeare

  When to the sessions of sweet silent thought
  I summon up remembrance of things past,
  I sigh the lack of many a thing I sought,
  And with old woes new wail my dear time's waste:

  Then can I drown an eye, unused to flow,
  For precious friends hid in death's dateless night,
  And weep afresh love's long since cancell'd woe,
  And moan the expense of many a vanish'd sight:

  Then can I grieve at grievances foregone,
  And heavily from woe to woe tell o'er
  The sad account of fore-bemoaned moan,
  Which I new pay as if not paid before.
    But if the while I think on thee, dear friend,
    All losses are restored and sorrows end.

things past:過去のこと、I sigh the lack of:失ったことについてため息をつく、my dear time's waste:私の大事な日々が失われたこと、dateless:果てのない、expense:価値、grievances foregone:過去の嘆き、tell o'er:数え上げる、


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