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イヌサフラン Les colchiques :アポリネール


アポリネールの詩「イヌサフラン」 Les colchiques (壺齋散人訳)

  秋の牧場はきれいだけれど毒がある
  牡牛がそこで草を食むと
  そのうちに毒にあたる
  目の隈模様のリラのようなイヌサフランが咲いた
  お前の目もこの花のようなすみれ色
  青みがかった目の隈のような秋のような色だ
  その目のためにわたしの命も毒にあたる

  学校の生徒たちが騒々しくやってきた
  制服姿でハーモニカを吹きながら
  子どもたちが摘むイヌサフランは 
  母のような娘のその娘のような
  風に瞬くお前の瞳のような色をしている

  牧人がのんびりと歌を歌うと
  のろのろと鳴き声をたてて牡牛たちが
  花もまばらな秋の牧場をいつものように去っていった


イヌサフランはヨーロッパの秋の野に咲く小さな花だ。淡い紫色の花びらは綺麗だが、毒がある。アポリネールはそのイヌサフランによせて、秋の牧場ののんびりとした風景をこの詩に歌いこんだ。それと併せて、サフランの花の印象から、恋人の瞳を連想している。


Les colchiques - Guillaume Apolinaire

  Le pré est vénéneux mais joli en automne
  Les vaches y paissant
  Lentement s'empoisonnent
  Le colchique couleur de cerne et de lilas
  Y fleurit tes yeux sont comme cette fleur-la
  Violatres comme leur cerne et comme cet automne
  Et ma vie pour tes yeux lentement s'empoisonne

  Les enfants de l'école viennent avec fracas
  Vêtus de hoquetons et jouant de l'harmonica
  Ils cueillent les colchiques qui sont comme des mères
  Filles de leurs filles et sont couleur de tes paupières
  Qui battent comme les fleurs battent au vent dement

  Le gardien du troupeau chante tout doucement
  Tandis que lentes et meuglant les vaches abandonnent
  Pour toujours ce grand pré mal fleuri par l'automne


関連リンク: 詩人の魂ギヨーム・アポリネール:生涯と作品

  • アルチュール・ランボー初期の詩

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