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シェイクスピアのソネット102  My love is strengthen'd,


シェイクスピアのソネット102  My love is strengthen'd, though more weak in seeming;(壺齋散人訳)

  私の愛は弱まったのではなく かえって強まったのだ
  仕草に現さないからといって 愛し方が弱いわけではない
  舌があたりかまわずすばらしさを吹聴するような愛
  そんな愛は売り物の愛に過ぎないのだ

  私たちの愛は春の間こそ新鮮そのものだった
  その頃は私も歌を作って愛を称えたもの
  フィロメラも夏の初めにはさかんに歌を歌い
  季節が移るにしたがって歌うことをやめた

  フィロメラの歌が夜を静まらせていた頃に比べ
  夏が楽しくなくなったわけではない
  いまやどの枝からも自然の音楽が響いてくる
  楽しい歌はどこでも聞かれ 珍しくはなくなったのだ
    フィロメラのようにわたしも時折舌を納めよう
    下手な歌で君を煩わせるのは本意ではないから


この詩は、101番の詩と同じく、愛における沈黙の価値を歌ったもの。101番では沈黙するミューズに呼びかけているが、ここでは詩人自らが沈黙が饒舌に増さる場合のあることを歌う。

フィロメラとはナイチンゲールの異称、その古典的な名称である。


SONNET 102 –William Shakespeare

  My love is strengthen'd, though more weak in seeming;
  I love not less, though less the show appear:
  That love is merchandized whose rich esteeming
  The owner's tongue doth publish every where.

  Our love was new and then but in the spring
  When I was wont to greet it with my lays,
  As Philomel in summer's front doth sing
  And stops her pipe in growth of riper days:

  Not that the summer is less pleasant now
  Than when her mournful hymns did hush the night,
  But that wild music burthens every bough
  And sweets grown common lose their dear delight.
    Therefore like her I sometime hold my tongue,
    Because I would not dull you with my song.

in seeming:見た目には、the show appear:外見上は、That love is merchandized:そのような愛は売り物だ、whose rich esteeming:それが大事にしているもの、I was wont:I was accustomed to、lays:歌、Not that:It is not because、But that:But because、sweets grown common:sweet things that have become common、


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