« シェイクスピアのソネット111  O, for my sake | メイン | 有楽町で逢いましょう:フランク永井死す »


シェイクスピアのソネット116  Let me not to the marriage


シェイクスピアのソネット116  Let me not to the marriage of true minds(壺齋散人訳)

  真実の心と心が結ばれるにあたり
  障害を介入させないようにしよう
  事情が変われば自分も変わり 相手次第で心を移す
  そんな愛は愛とはいえない

  愛とは不動の目印のようなもの
  嵐にあっても 決して揺るがない
  愛とは船を導く星のようなもの
  高さは測られようと その力は無際限

  愛は時の道化ではない 愛する人の唇や頬が
  時の大鎌によって刈り取られようとも
  愛は束の間の時の中で変わることなく
  最後の審判の日まで貫くものだ
    もしこれが間違いで 私も間違っているなら
    こんなことは書かないし 愛することもしないだろう


青年を歌った一連のソネットの終盤近くになって、シェイクスピアはこのソネットを始めとして、愛の永遠性について改めて歌っている。

それは心がときめくような愛に始まって、互いの心変わりや裏切りを経て、ゆるぎないものへと高まっていく。そんな愛の讃歌としてこのソネットは受け取られ、シェイクスピアのソネット集の中でもとりわけ重要視されてきた。


SONNET 116 –William Shakespeare

  Let me not to the marriage of true minds
  Admit impediments. Love is not love
  Which alters when it alteration finds,
  Or bends with the remover to remove:

  O no! it is an ever-fixed mark
  That looks on tempests and is never shaken;
  It is the star to every wandering bark,
  Whose worth's unknown, although his height be taken.

  Love's not Time's fool, though rosy lips and cheeks
  Within his bending sickle's compass come:
  Love alters not with his brief hours and weeks,
  But bears it out even to the edge of doom.
    If this be error and upon me proved,
    I never writ, nor no man ever loved.

to the marriage of true minds:青年との愛が肉体的なものではなく、プラトニックな愛であったことを強調している、the remover:one who moves、ever-fixed mark:sea mark、wandering bark:漂流する船、Whose worth's:星の価値、although his height be taken:星の高さは測ることはできなくとも、I never writ:I have never written anything


関連リンク: 英詩のリズムシェイクスピアシェイクスピアのソネット

  • 英詩と英文学





  • ブログランキングに参加しています。気に入っていただけたら、下のボタンにクリックをお願いします
    banner2.gif


    トラックバック

    このエントリーのトラックバックURL:
    http://blog.hix05.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/1151

    コメントを投稿

    (いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)




    ブログ作者: 壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2006

    リンク




    本日
    昨日