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アルツハイマー病の早期発見


世界規模で高齢化が進む中、アルツハイマー病の患者も増大し続けている。現在地球全体で2600万人がかかっているといわれるが、この趨勢が続くと、2050年には1億600万人がアルツハイマー病になるだろうと推測されている。

この病気は脳の器質が破壊されることによって起こるものであり、残念ながら不可逆的だ。一旦破壊された脳の部分は元には戻らない。しかし早期に発見することにより、進行を遅らせることは可能だ。この病気で苦しまないためには、早期にその兆候を見出し、適切な薬物療法を施すなどして、なるだけ脳の機能を保存することが大事となる。

このたび、この病気を早期発見するためのテスト方法が開発されたそうだ。これが有効に働けば、脳の損傷がまだ初期の段階で、その後の進行を食い止めることが可能となり、悲惨な痴呆症状に陥る危険性も少なくなるという。

アメリカ・ペンシルベニア大学のレスリー・ショー Leslie Shaw 博士らのグループは、アルツハイマー病のマーカーとしてアミロイドβプロテインとプロテイン・タウに着目し、脊髄液中でのそれらの濃度を測ることで、アルツハイマー病にかかる確立およびその進行度をはかることに成功した。4100人を対象に行った実験の結果では、87パーセントの確率で、病気の状態を判定することができたそうだ。

アミロイドβプロテイン(特にアミロイドβ42ポリペプチド)は、脳のプラーク(垢のようなもの)に蓄積されるが、それが多くなるとアルツハイマー病を発症および進行させる。だから脊髄中に滲み出したこの物質の状態を調べれば、脳の状態もおおよそ判定することができるという。

一方、タウ・プロテインは、脳の神経細胞が死滅した結果生じる物質らしく、これが脊髄液の中に流出するらしい。だからその濃度を測ることによって、病気の状態も判定できるということのようだ。

ショー博士らはこのテストを早く実用化することによって、アルツハイマー病を早期に発見するとともに、その進行を抑えるための薬の開発に力を入れたいと話している。


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