クレマチス:水彩で描く折々の花(壺齋散人画)

クレマチスはつる性植物の女王といわれるに相応しく、美しい大輪の花を咲かせる。しかも蔓は枯れることなく、毎年新しい枝を伸ばしては、その先に花を咲かせ続け、数年たつうちには、たくましく成長して大きな株になり、夥しい花を咲かせる。
クレマチスというと外来の花のようにも思われるが、今我々が普通に眼にしているものは、日本に自生していたものをベースにしている。日本人はそれを鉄線といって長い間愛でてきた。今日でもクレマチスの総称として、鉄線という言葉を使う人は多い。亡くなった筆者の母親も、鉄線をこよなく愛していた。
詳しく言うと、日本のクレマチスには、鉄線と花車とがあった。鉄線は花びらが6枚で、風車のほうは8枚だから、容易区別できる。もっとも花弁に見えるものは、萼が発達したもので、本来の花弁は退化して存在しない。
風車の名は、その形状から来ている。八方に広がった羽のような花びらの形があたかも風車を思わせるのだ。一方鉄線は丈夫な蔓が鉄線のようだからだろう。こちらは中国伝来のものである。
クレマチスは北半球に広く分布している。欧米のものは花が小さい。そこで日本のように鉢仕立ては余り行われず、修景用に用いられることが多い。最近は日本のものとヨーロッパのものを掛け合わせて、多彩なクレマチスが作られている。
花言葉は美しさや高潔に関連したものが多い。花の持つ優雅さの現われだろう。
絵にあるのは、筆者の家の庭で育てているものだ。筆者が今の家に住むようになったのはもうかれこれ十年近くになる。このクレマチスもそれとほぼ同じ期間、この家の庭に咲き続けている。
これは花びらが8枚あるから風車の一種である。筆者の家にはこのほか、花びらが6枚あるもの、いわゆる鉄線も咲いている。
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