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居住可能な星:赤色矮星の惑星


先日は、ペガサス座の一隅に水が存在する可能性の高い惑星が発見されて、天文学者たちを喜ばせたが、今度は、人間の居住可能な惑星が発見されたそうだ。

その惑星は、赤色矮星 Red Dwarf のひとつ Gliese 581 の周囲を回っている星で、発見したヨーロッパのチームは、これを単にc と命名した。Gliese 581は、夏の北半球では、東南の空の一偶に見えるそうだ。大部分の赤色矮星と同様、鈍い赤色の星で肉眼では見えない。

これまでに発見された太陽系以外の惑星は200余りあるそうだが、いずれも “Goldilocks Problem” を抱えていて、人間の居住には適さないとされてきた。つまり、熱すぎたり、冷たすぎたり、大きすぎたり、ガス状であったりして、居住には適さない性質をもっていたのである。

ところが Gliese 581-c は、さまざまな点で人間の居住に適した条件をそろえているという。

まず大きさについては、表面が岩状であるなら、地球の約1.5倍、温度は32度乃至104度、しかも水が存在する可能性が高いという。自重は地球の約5倍、重力は地球の約1.6倍で、恒星の周囲を13日で一周する。だがこの星は自転していないようなので、もしそうなら、半分は常に明るく、半分は常に暗いということになる。

居住可能といっても、天文学者たちが想定しているのは、地球のように快適な条件ではない。適度な温度と水が存在する可能性があれば足りるという程度のものであり、ほぼ火星と同じレベルの条件を想定している。

銀河系には、Gliese 581と同じような赤色矮星が数多く存在している。それらは低エネルギーで、鈍い赤色の光を放ち、太陽よりも古い歴史を有する。ビッグバン以前から存在していた可能性も指摘されている。エネルギー量が低いため、その惑星の中には、あまり強い放射熱を浴びず、適度な温度とそれに伴う水の存在を許すものがあっても不思議ではないとされてきた。だから、今回の発見は待ちに待ったものだったのである。

しかしまだ、この星に水の存在が確認されたわけではない。また、仮に以上の条件がすべて満たされたことがわかったとしても、まだ多くの問題が残る。第一、この惑星は地球から20.5光年も離れている。人間の現在の技術を以てしては、生きている内に行って帰ってくるには、途方もない距離である。

ともあれ、天文学者たちは、太陽系以外における生命の存在を知るための鍵として、今回の発見が大きな意味を持つものと、熱い視線を向けているそうだ。


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