ウィリアム・ワーズワースの詩「ルーシーの歌」 She Dwelt among the Untrodden Ways を読む。(壺齋散人訳)
ルーシーの歌
人里はなれて静かに暮らす
ダウの泉の傍らで
称賛されることもなく
愛されることもなく
岩畳に咲いた一輪のスミレ
人の目をはばかるように
星のような清楚な姿は
ひそかな輝きを放っていた
人知れず生きたルーシーは
誰も知らないままに死んだ
彼女は墓の中で眠る
私にとってかけがいのない人
この詩は、Lucy Poem 5編の中でもっとも有名なものだ。他の4篇とともにドイツ旅行中にかかれ、Lyrical Ballads の再版の中で発表された。
先の歌とは別の視点から、ルーシーの孤独な生き方と、そのひっそりとした死を歌っている。ルーシーは詩人のほかには誰からも注目されたことがないが、その美しさはスミレのようでもあり、また星のように輝いてもいたと歌う。
花や星に自然の美しさとともに、人間の美しさを喩えるのはワーズワースの得意とするところだったようだ。
She Dwelt among the Untrodden Ways
She dwelt among the untrodden ways
Beside the springs of Dove,
A Maid whom there were none to praise
And very few to love:
A violet by a mossy stone
Half hidden from the eye!
– Fair as a star, when only one
Is shining in the sky.
She lived unknown, and few could know
When Lucy ceased to be;
But she is in her grave, and, oh,
The difference to me!
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