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陶淵明擬古九首:其一榮榮窓下蘭


陶淵明擬古九首から其一「榮榮窓下蘭」を読む。


擬古其一

  榮榮窓下蘭  榮榮たり窓下の蘭
  密密堂前柳  密密たり堂前の柳
  初與君別時  初め君と別れし時
  不謂行當久  謂(おも)はざりき行當に久しかるべきとは
  出門萬里客  門を出でて萬里の客たり
  中道逢嘉友  中道にして嘉友と逢ひ
  未言心相醉  未だ言はざるに心相ひ醉ふ
  不在接杯酒  杯酒を接するにはあらざるに
  蘭枯柳亦衰  蘭枯れ柳も亦衰ふ
  遂令此言負  遂に此の言をして負かしむ
  多謝諸少年  多謝す諸少年
  相知不忠厚  相ひ知ること忠厚ならざりき
  意氣傾人命  意氣 人命を傾く
  離隔復何有  離隔 復た何か有らん

窓下の蘭は花開き、堂前の柳は深い緑をたたえていた、その折会いに君と別れたときには、別れがこんなにも長くなるとは思いもよらなかった

君は門を出て万里の客と成り、その途中で親しい友に出会ったのかね、恐らくは言葉を要せずして互いに信服し、杯を交わす必要もなく仲良くなったのだろう

今や我が宿の蘭も枯れ、柳も衰えてしまった、なのに君は私と交わした再会の約束を果たそうとしない、くれぐれも申したいが、我々の交友はそんなには深くなかったのだ

友人同士意気投合すれば命をも傾けるという、まして遠く離れていることなど、何の妨げにもならないのに


別れた友が自分を見捨てて再会の約束を果たそうとしないのをなじった詩だ。


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