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シェイクスピアのソネット73  That time of year


シェイクスピアのソネット73  That time of year thou mayst in me behold(壺齋散人訳)

  君が私のうちに見るのは一年のうちのあの季節
  冷たい風に揺れる枝には葉もなく
  あったとしても黄色い枯葉が二三枚
  小鳥たちが歌っていた聖歌堂も今は廃墟だ

  君が見るのは一日のうちの黄昏時
  日が西に沈みつつ光を失い
  徐々に暗い夜が昼を押しのけ
  死の片割れの闇がすべてを安楽のうちに閉ざす

  君が見るのは残り火の光
  燃え尽きた灰を死の床として横たわり
  その上で消えていかなければならない
  かつてはそこで燃え盛っていたというのに
    こんな私を見て君の愛はますます強まり
    やがて別れねばならないものを愛おしく思うのだ


詩人の詩を暗示する一連の詩の中で、これは自分を人生のたそがれ時、季節で言えば冬にあるものと喩えている。詩人はすでに人生の終わりに差し掛かっているのだから、そんな自分を見ても、決して取り乱さないで欲しいと歌う。

だがこれが書かれたのは1600年の頃とされ、そうだとすればシェイクスピアはまだ36才だったはずだ。人生の終わりというには早いというべきである。

愛の弱さと強さを表現する際の、シェイクスピア一流の修辞法なのだろう。


SONNET 73 –William Shakespeare

  That time of year thou mayst in me behold
  When yellow leaves, or none, or few, do hang
  Upon those boughs which shake against the cold,
  Bare ruin'd choirs, where late the sweet birds sang.

  In me thou seest the twilight of such day
  As after sunset fadeth in the west,
  Which by and by black night doth take away,
  Death's second self, that seals up all in rest.

  In me thou see'st the glowing of such fire
  That on the ashes of his youth doth lie,
  As the death-bed whereon it must expire
  Consumed with that which it was nourish'd by.
    This thou perceivest, which makes thy love more strong,
    To love that well which thou must leave ere long.

That time of year thou mayst in me behold :You may behold in me that time of year、Death's second self:眠りのことをさす、


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