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シェイクスピアのソネット128  Oft, when thou


シェイクスピアのソネット128  Oft, when thou, my music, music play'st(壺齋散人訳)

  時折君が音楽を、私に音楽を奏でるとき
  鍵盤は君の優しい指につれて動き回り
  弦は揺れつつハーモニーを発し
  私の耳は陶然となるのだ

  すばやく跳ね回る鍵盤のねたましさよ
  君の優しい掌に接吻しようとしている
  ところが私の唇は 君からご褒美を貰えるはずなのに
  鍵盤の動きを見てはうろたえるばかりなのだ

  そんな風にくすぐってもらえるなら
  いっそ私の唇が鍵盤と入れ替わったほうがよい
  君の指は鍵盤の上を軽やかに歩き回り
  死んだ木片を生きた唇より幸せにするのだから
    小生意気な鍵盤がそんなにも幸せなら
    君の指は鍵盤に与え 私には唇でキスして欲しい


愛する女性の体に触れるために、女性の手袋になったり帽子になったりしたいと歌うのは、シェイクスピア時代のソネットがよく採用した手法だ。

同じような手法は世界中で用いられている。中国の陶淵明も、扇になりたいとか、足袋になりたいとか、とにかく女性と触れ合えるなら何にでもなりたいと歌っているし、ロシアのプーシュキンは波になって愛する人を掻っさらっていきたいと歌っている。


SONNET 128 –William Shakespeare

  Oft, when thou, my music, music play'st,
  Upon that blessed wood whose motion sounds
  With thy sweet fingers, when thou gently sway'st
  The wiry concord that mine ear confounds,

  Do I envy those jacks that nimble leap
  To kiss the tender inward of thy hand,
  Whilst my poor lips, which should that harvest reap,
  At the wood's boldness by thee blushing stand!

  To be so tickled, they would change their state
  And situation with those dancing chips,
  O'er whom thy fingers walk with gentle gait,
  Making dead wood more blest than living lips.
    Since saucy jacks so happy are in this,
    Give them thy fingers, me thy lips to kiss。


that harvest : the harvest of your kisses、the tender inward of thy hand:手のひらのこと、To be so tickled:くすぐってもらおうと思って、


関連リンク: 英詩のリズムシェイクスピアシェイクスピアのソネット

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