ツワブキ(石蕗):水彩で描く折々の花(壺齋散人画)
ツワブキはキク科の多年草で、福島以南の日本各地に自生している。名前の由来は艶のあるフキ(ツヤフキ)とする説があるが根拠は怪しい。しかしその葉はフキとよく似ている。フキの葉が柔らかくて繊毛があるのに対して、こちらは硬くしかも光沢がある。両方とも茎は食用になる。
日陰でもよく育つので、庭の下草としてよく用いられる。花は10月から11月にかけて長く咲き続ける。秋の草花というイメージが強いが、季語分類上は冬の花に入れられている。
ツワブキを歌った俳句や和歌は多い。ただ古歌には見たことがない。ドクダミ同様雑草扱いされて、詩趣を誘うこと甚だ劣っていたせいだろうか。
ツワブキを歌ったものからいくつかあげると、
庭に干す土人形や石蕗の花(子規)
庭を見ることも稀なり石蕗の花(虚子)
秋草のしどろが端にものものしく生きを栄ゆるつはぶきの花(左千夫)
いくたびか時雨のあめのかかりたる石蕗の花もつひに終はりぬ(茂吉)
どの作品も、ツワブキの花をさりげなく歌っているのは、この花があまりにもありふれていて、大げさな詩情とは縁が薄いからだろう。
花言葉は「困難に負けない」なお、この絵は筆者の家の庭隅で咲いていたものを描いたものである。
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